半導体デバイスのコンパクト化に欠かせないHOYAが追加に! 3月の日興ストラテジー・セレクション

ここが狙い目! 日興ストラテジー・セレクション/ 日興フロッギー編集部岡田 丈

今の社会動向や投資環境をもとにホットな銘柄を毎月選定している「日興ストラテジー・セレクション」。3月号ではメガネレンズなどでおなじみの「HOYA」が新たに仲間入りしました!  HOYAの投資ポイントをチェックして、これからの銘柄選びの参考にしてはいかがでしょうか。

世界最高峰の光学技術をもつ、光学レンズメーカー「HOYA」

今回、新規で採用された「 HOYA 」は、メガネレンズやコンタクトレンズ、医療用内視鏡、白内障用眼内レンズなどを手掛けている光学レンズメーカーです。近視から老眼まで、視力矯正が必要なあらゆる年齢層の人々に、なくてはならない企業のひとつです。

実はメガネなどを使っていない人でも、世界中の多くの人が間接的に同社の製品を利用していることをご存じでしょうか。メガネのように直接身につけるものではありませんが、みなさんがいつも使用しているパソコンやスマートフォンの中に同社製品が使われています。

半導体をさらにコンパクト化させるトップシェア製品

メガネレンズなどのヘルスケア製品と並んで同社が手掛けているのが、世界トップシェアを握る「半導体製造用マスクブランクス」です。

パソコンや家電製品、自動車など、暮らしの中の様々な機器・製品には半導体デバイスと呼ばれる小さな部品が数多く使われています。製品の性能を上げるためには、より小さな半導体を多く使う必要があります。そして技術の進化により、微細化がどんどん進んでいます。

現状ではその最小線幅は7ナノメートル(nm)にまで達しているとのこと。ちなみに1nm=0.001マイクロメートル=0.000001ミリメートルなので、7nmということはシャープペンシルの芯(直径:0.5mm)の約7万分の1の線が描けるということを意味します。このような半導体デバイスのコンパクト化に欠かせないのが、同社の半導体製造用マスクブランクスとフォトマスクです。

マスクブランクスで世界シェアトップ!

半導体の微細化ニーズがますます高まるなか、「EUV(極端紫外線) 露光装置」という次世代型の製造装置が登場しています。この装置に欠かせないのが同社の「マスクブランクス」と「フォトマスク」です。

マスクブランクスとは、半導体デバイスを製造する元となるガラス基板です。このガラス基板上に複雑な回路パターンを形成したものが、フォトマスクです。こうして製造したフォトマスクの原版をシリコンウエハーという別の部材に転写することで、半導体デバイス回路が形成されますが、この転写時に用いられる「露光」というプロセスが、半導体デバイスをコンパクト化するカギとなります。

これまでの露光装置では7nmの壁を破ることができず、微細化を進めるには次世代のEUV露光装置の開発が必要でした。また、EUV露光装置に対応できる材料は、世界最先端の技術がなければ生産できないと言われています。

実はこの装置を供給できるのは、現状では世界でただASML社(オランダ)1社だけ。そしてその装置に対応できるマスクブランクスを供給できるのが、マスクブランクスで50%以上の世界シェアを持ち、世界ナンバーワンの地位にいる同社です。長年培った光学技術で他社の追随を許しません。

連続過去最高益更新を予想

世界の半導体メーカーは、さらなる微細化に向けてEUV露光装置を導入開始しています。それを裏付けるかのように、2017年以降、ASML社の装置出荷も順調に伸びている状況です。装置が導入されればそれに対応できる材料が必要ですから、同社のマスクブランクスへの需要はますます高まっていきそうですね。

2020年3月期第3四半期決算では、EUV露光装置向けマスクブランクスは好調に推移し、売上高は1465億円(前年同期比2.1%増)という状況です。ただ、消費増税前のメガネレンズやコンタクトレンズの駆け込み需要の反動減から、税引き前利益は前年同期比3.4%減という結果でした。

今後については、EUV露光装置導入など、半導体メーカーの生産体制が整ってきたことなどにより、2020年3月期通期では前期比12.6%増、2021年3月期は同7.7%増と4期連続で過去最高益更新となる見込みです(QUICKコンセンサス予想)。これからますます同社の活躍に注目していきたいですね。

エレクトロニクスの進化と豊かな暮らしづくりに貢献

半導体デバイスのコンパクト化に欠かせないマスクブランクスで世界シェアを半分以上握るHOYA。半導体市場はますます微細化ニーズが高まり、製造装置も材料も世界最先端の技術が求められています。暮らしの中で必要不可欠な半導体を支える企業として、同社の今後の活躍を応援したいですね。

2020年3月号では、リログループが除外となりました。リログループは深刻な人手不足が追い風となり、福利厚生などの利用拡大が続いています。しかし、「長時間労働是正」や「同一労働同一賃金」などが大きなヤマ場を越えつつあること、海外事業の影響度が高まったなどから、成長が鈍化する可能性があることを考慮しました。
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