眼前の繰廻しに、百年の計を忘れるなかれ。

たった1分で人生を変えちゃう、お金の名言/ 日興フロッギー編集部ウィスット ポンニミット

渡辺崋山といえば「蛮社の獄」を連想する人が多いだろう。江戸幕府によって、蘭学者たちが理不尽に弾圧された事件のことだ。崋山自身も連行され、無念の自死を遂げてしまう。彼はとても多彩で、蘭学を修めたほか、画家としても優れた作品を残している。さらに、三河・田原藩の家老として藩政改革を行い、平時からの蓄えによって天保の飢饉で餓死者を一人も出さなかったという逸話もある。そんな崋山が説いたのが、この格言。交渉の要諦(大切さ)を説いた『八勿の訓戒(ハチブツノクンカイ)』に出てくる一節で、「目先の損得にとらわれて、長期的な展望を忘れてはいけない」と軽率な判断を戒めている。為政者としても文人としても立派な功績を残した崋山だからこそ、説得力をもつ格言だね。

■渡辺崋山(蘭学者、画家、田原藩士)
1793~1841年。江戸後期の蘭学者であり、画家、三河田原藩士。貧しい家計を助けるため、10代から画業に勤しむ。谷 文晁(タニブンチョウ)に学び、のち西洋画の技法を取り入れて写実的画風を確立した。田原藩の家老として藩政改革を行う一方、蘭学を修め、高野長英や小関三英らと交流。主な著作に、幕府の鎖国政策を批判した『慎機論』のほか、『鴃舌或問(ゲキゼツワクモン)』『西洋事情書』などがある。
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