三井不動産と鹿島、内幸町再開発にトライ

ニュースの裏事情/ 日本証券新聞

テレビや新聞で取り上げられたニュースの裏側を解説する本連載「ニュースの裏事情」。今回は、夏の東京オリンピック後に控えるビッグプロジェクト「内幸町再開発」の裏事情についてご紹介します。

連携強める三井不動産と鹿島

三井不動産 」が、有楽町と新橋の間に位置する内幸町の再開発計画を進めており、五輪後の大規模開発としても話題になっています。これができれば、三菱グループの本拠地である丸の内を、三井本拠の日本橋と内幸町で挟み込む形となります。

この再開発に関わる地権者は「 帝国ホテル 」「 NTT 」「 みずほFG 」「 東京電力HD 」と、そうそうたる大企業が並びます。また、ここにもう一つ、「 鹿島 」の名前を挙げる向きもあるようです。

近年、三井不動産と鹿島の連携が強まっています。三井不動産は内幸町の北側に東京ミッドタウン日比谷を2018年3月に開業させましたが、鹿島が建設を担いました。また、2019年9月に横浜市庁舎跡地の再開発のコンペが行われ、「 三菱地所 」「 清水建設 」を破って三井不動産が落札しましたが、そのパートナーも鹿島でした。

「三井不動産の積極姿勢は北原義一副社長によるところが強い。一方、鹿島の山口皓章副社長も攻めの強い人。この2人が三井・鹿島による攻めの提案で再開発をけん引。だから内幸町でも鹿島が施工で重要な役割を持つとみられている」(不動産コンサルタント)

内幸町はインフラの重要拠点

内幸町再開発では東京電力にも注目が集まっています。内幸町には本社のほかに変電所がありますが、それだけではなく、発電量を使用量のバランスの制御を担っている重要な中央給電指令所があります。

「東日本大震災で原発が止まった直後、東京電力地下の指令所のモニターの発電量の数値がどんどん下がっていった。放っておくと首都圏が大停電となる。そこで他発電所と電力をやりくりしたことでどうにか乗り切りました」

こう語るのは同指令所の職員。重要な役割を担うため、老朽化している指令所のセキュリティー強化が必要となっています。東京電力としては、災害の被害を受けない強固な施設に改めたいという事情があるようです。

NTTも同じです。内幸町のNTT日比谷ビルはもともと電電公社本社で、建物の地下にはメタルケーブルや光ケーブルなどが複雑に走っています。この整理は長年の課題でした。

このように内幸町の再開発は、電力や通信のインフラ強化の観点が強いようです。単なる街づくりではない発想が求められるというわけです。そうした難しい課題に三井不動産と鹿島はアグレッシブにトライするのではないでしょうか。

報道では再開発の正式発表は2020年秋という情報もありますが、関係者によれば、「地権者間で協議中で、予定はまだ決まっていない」とのこと。今後の追加情報に注目が集まりそうですね。

(出典:日本証券新聞)