前回は2019年の日本の株式マーケットを、国内外の様々なイベントなどを通して振り返りました。ただ、具体的にどんなテーマが盛り上がったのか、そして来年はどんな銘柄に注目すればよいのかについては触れませんでした。そこで今回は、業種やテーマごとに2019年の相場を振り返りたいと思います。来期にV字回復が見込まれる業種や銘柄をカエル先生とチェックしていきましょう!
業種別株価指数ってなに?
今回は、東証に上場している銘柄を33業種で分類している「東証33業種」別に2019年を振り返ります。この33業種とは、たとえば「食料品」や「医薬品」、「海運業」などといった具合に、その会社が手掛ける主な業務によって分類されています。また、それぞれの業種ごとの株価指数もあり、それは「業種別株価指数」と呼ばれています。
※業種により算出開始時期や基準値が異なります。
つまり、業種別株価指数は、それぞれの銘柄の株価をただ平均したものではなく、時価総額と連動して推移する指数であることが分かります。
時価総額と連動するということは、時価総額が大きい銘柄の値動きに指数が影響されやすいということを表します。時価総額の小さい銘柄が大きく上昇しても、影響は限定的です。
2019年の上昇率トップは「精密機器」
33業種のうち今年一番大きく上昇したのは、+42%の精密機器でした。それに次いで、電気機器や、その他製品、機械などが続いています。
精密機器の時価総額上位は、「 HOYA 」や「 テルモ 」、「 オリンパス 」など、レンズメーカーや医療用機器メーカーが占めています。医療機器に対するニーズは世界で伸びていて、また世界の景気動向に左右されにくい分野であるため、米国と中国による貿易摩擦の影響が小さかったものと考えられます。
また、業種別ランキング2位の電気機器と4位の機械は、共通の追い風が吹いていました。それは半導体です。これら業種の中で大きく上昇した銘柄を見ると、半導体試験装置の国内最大手メーカーである「 アドバンテスト 」や、半導体製造装置大手の「 東京エレクトロン 」、半導体ウエハの切断装置などで世界トップシェアを握る「 ディスコ 」など、いずれも半導体関連メーカーが並んでいます。
過剰な生産体制が一巡し、需要が再び上回ってきたことで、半導体市況が回復傾向にあります。その影響で、こうした半導体に関連する企業、業種の株価が大きく上昇しました。
需給悪化リスクが株価を下押しした空運業
一方で、一番大きく下落したのは、空運業でした。
実は2020年3月末より、羽田空港の国際線発着枠が増便することが決まっています。これにより、一時的に国際線の座席供給量が需要を上回る状態になってしまうとの懸念が浮上しているのです。需給悪化の状態が続くと、今後の業績悪化も想定されるため、売られやすい状況にあると考えられます。
これからV字回復が予想される業種とは
では、これから投資を検討するならば、どの業種を選べばよいでしょうか。そこで「今期は業績(営業利益)が落ち込む見込みだが、来期は大きく回復すると予想される業種」に注目しました。そこで上がってきたのが、医薬品、空運業、食料品、電気機器、陸運業です。
また、これら5業種の中から、今期が営業減益予想で、来期営業増益予想の銘柄をスクリーニングしました。いずれも前期の売上高・営業利益を、来期に上回る予想のものをピックアップしています。こうしたV字回復期待が見込まれる銘柄をベースに、投資候補を見つけてみてはいかがでしょうか。
やまみ
スターフライヤー
味の素
セルソース
鈴木
キョーリン製薬ホールディングス
京極運輸商事
ユビテック
日本ハム
ヒガシマル