会社に頼らず生涯収入を上げたい。かといって、起業? 副業? 特別なスキルもないからやっぱりムリーー。そんなあきらめ気味のあなたに新しい選択肢を与える1冊です。「やりたいことがない、は成功とは無関係」、この言葉が響いた人には特におすすめ。
あなたが当たり前にやっている、どんな仕事にも市場価値はある
「地味な起業」とは何か?
自分が主役になる起業ではなく、「好きな人のビジネスをサポートする起業」です。何でも屋といえば誤解を招きそうですが、ある意味、消えることのないブルーオーシャンかもしれません。世に「パワフルなインフルエンサー」しかいなければ経済は逆に滞ってしまうはずですから。
筆者自身、カリスマ性のなさを自覚していたと言います。イベントに参加したのに誰とも打ち解けられずに終わってしまったり。起業スクールの面談で『君を見る限り、ネクタイの色から靴下の色まで一切成功するようには思えない』と身もふたもないことを言われてしまったり。
キャリアアップはしたいけれど、特にやりたいことも思いつかない人間が、いかにして経済的自立を収めるか? 体験談に基づく起業(または副業)の啓発書となります。
本書にはこうあります。「特別なスキルを持っている人たちほど普通の事務作業がまったくできない」と。あなたが当たり前のようにやってきたどんな仕事も――スケジュール管理や入金確認、資料や画像作成等々――十分に市場価値があると。
筆者には「アプリ1つで仕事が発生」した経験があります。「このアプリが便利ですよ」と何気なく言った一言が、先方の目には「ITに詳しい若者」と映ったのでしょう。今の自分のテリトリーから一歩出れば「当たり前」が「当たり前」でなくなることもある。思いもよらない自分の強みに出会うこともあると言います。
もちろん、「地味な起業」は応援したい相手あってこそ。本書ではパートナーと出会う方法から信頼関係の築き方、仕事を提案するコツ、報酬の話にまで踏み込んでいきます。あえて「いいね!」が少ない投稿にコメントするとか、あえてメルマガに返信する(やる人が少ないから目立つ)など、地味ではあるけれども効く裏技も随所に。「自信のない読者」にも寄り添うような文体が、著者の人柄を感じさせるキャリア本です。