2016年にアメリカで登録された特許数で、日本企業で最多なのはキヤノンの3665件。これは世界における全企業中では第3位にランキングしており、なんと日本企業で最多の状態は12年連続で続いています。アメリカでの特許取得を積極的に進めた結果ということで、日本企業の知的財産に対する意識はこれからも高まっていきそうです。有望な特許を持っている会社は他にもたくさんあります。投資のチャンスも隠れているかもしれませんね。
社長は特許資産個人ランキング1位!【オプティム】
「IoT」(モノのインターネット)や人工知能など、進歩の著しいIT分野。とくに知的財産権に敏感な業界のひとつでしょう。まさにそんな最先端分野を事業領域とし、知財戦略へ積極的に取り組んでいる会社が「 オプティム 」です。
オプティムのコンセプトは、「ネットを空気に変える」。スマホやタブレット、パソコンなどの端末をクラウド上でまとめて管理するサービスを主力に、AIを組み込んだソフトを使って畑の害虫を駆除するドローンや遠隔医療などにも取り組んでいます。
特許の取得にも積極的で、オプティムの社長は「情報通信分野における日本人特許資産規模ランキング」で第1位。また「IoT分野国内特許総合ランキング」では、1位のパナソニック、2位のシャープに次いで、3位の実績がホームページに掲載されています。ちなみに4位は三菱電機で、そうそうたる大企業と肩を並べていることがわかります。最先端の技術を特許で守るオプティム、これからの成長にも注目したいですね。
「スイッチ」といえばこの会社【戸上電機製作所】
「絆創膏といえば、あの商品」「ソースといえば、あの会社」と、思い浮かぶ商品名や企業名があるのではないでしょうか。自社の商品が特定の製品分野を象徴するほどになれば、企業冥利に尽きるでしょう。でも、「電気のスイッチといえば?」と言われても企業名が浮かぶ人はいないのでは? 正解は
「
戸上電機製作所
」。電気の配電盤や電流のオン・オフを切り替えるスイッチの分野で「スイッチの戸上」と言われる会社です。
戸上電機製作所の製品は身近なところにも使われています。たとえば電柱。落雷などがあっても安定して送電できるよう使われている「開閉器」は、戸上電機製作所の製品のひとつです。
この会社の強みは創業以来90年あまりの歴史の中で取得してきた多数の特許。電気の制御機器で多くの特許を取得しています。「スイッチの戸上」の代名詞、覚えておくと投資に役立ちそうですね。
ごま塩のごまと塩、均等に出る秘密は?【エスビー食品】
日々の食卓で身近な存在である「 エスビー食品 」。この会社の社名の由来、ご存知でしょうか。1930年に発売した「ヒドリ印カレー粉」にヒントがあります。「ヒドリ」とは日と鳥、「Sun & Bird」です。太陽と鳥をあしらったマークに「S&B」と書き添えた図案を商標として登録した記録が残っているそうです。社名からして知的財産と密接なエスビー食品、特許を多数保有しています。
できたてのご飯に「ごま塩」をサッとふりかける――。このときにごまと塩が分離せずバランスよく出てくること、よく考えれば不思議ですよね。塩はごまにくらべて小さいため、塩同士をくっつけてごまと同じ比重にすることで均等に出てくるようになっているそうです。この「造粒製法」、エスビー食品の特許です。
その他にも最後まで絞りやすいようクチの部分に切込みを入れた「ラクしぼりチューブ」など容器やキャップについての特許を多く保有するエスビー食品。ひとつひとつは小さな特許かもしれませんが、その積み重ねは私たちの食卓でこれからも活躍してくれそうです。
ガラスコーティングを突き詰めてシェア7割【ソフト99コーポレーション】
雨の日の運転、窓ガラスについた水滴に視界を妨げられヒヤッとする思いをした人は多いのではないでしょうか。「ガラコ、塗っておけばよかった」なんて後悔もするかもしれませんね。
雨の日でもクリアな視界を確保できるようウィンドウの水滴を流しやすくしてくれるガラスコーティング剤の「ガラコ」。作っているのは、カーケア用品大手の「 ソフト99コーポレーション 」です。カーケア用品のうちガラスケア分野では約7割、ボディケア分野では約4割のシェアを持つトップ企業です。
ガラコなどの撥水・塗膜技術で高い競争力のある特許を保有しているソフト99コーポレーション。高い技術力を活かしてメガネケア関連製品や半導体向け製品などにも進出しています。特許を活かした経営の今後、楽しみですね。
世界に羽ばたく”Umami”【味の素】
甘さ、酸っぱさ、塩からさ、苦さ以外に味はないのだろうか……『5つ目の味』が存在するのでは……? そう考えた池田菊苗博士が湯豆腐の昆布だしをきっかけにして発見したのが「うま味」でした。池田博士が1908年に取得した特許は
「
味の素
」の創業者によって商品化され、今や”Umami”として世界中で愛されています。
池田博士が発見したうま味は、アミノ酸の一種であるグルタミン酸の塩の味でした。味の素ではアミノ酸を乳牛の栄養改善に活用する技術や、精度の高いがん検診に応用する技術などが生まれています。また、ほぼ100%のパソコンで半導体の絶縁体として「味の素ビルドアップフィルム(ABF)」が利用されているそうです。味の素、うま味だけの会社ではないんですね。
「2020年までにグローバル食品メーカーのトップ10入り」 をめざすほどの会社になった味の素ですが、その原点は湯豆腐――そう思うと親しみが湧いてきます。定番銘柄として資産運用の対象に検討してみては。
いかがでしたか? さまざまな分野で、私たちの暮らしを便利にしてくれる特許を保有する企業をみてきました。発明に着目して、企業のこれからの活躍を応援するのも、投資のひとつの楽しみ方かもしれませんね。
今回のテーマで取り上げた上場企業
オプティム
戸上電機製作所
エスビー食品
ソフト99コーポレーション
味の素