PERで読み解くバンダイナムコHD

月曜日はPERをトコトン!/ 日興フロッギー編集部きくちゆうき

年初来高値を更新する銘柄も増え、ここからさらに上がる銘柄を探しあぐねている人も多いのではないでしょうか。そんな時は「PERの読み解き方3ヵ条」を参考にして、①これからの業績、②会社の人気度、③投資家の心理を考えてみてください。きっと投資のヒントが見つかるはずです。

PERは株価を1株あたり利益(EPS)で割ることで計算でき、一般的には10倍、15倍というように倍率で表され、倍率が高くなれば割高、低くなれば割安と判断します。

PER=株価÷1株あたり利益(EPS)
(もしくは、時価総額÷当期純利益)

キラーコンテンツが収益に貢献

他社に負けない魅力や性能を持つ製品・サービスのことを「キラーコンテンツ」と言います。ただ、キラーコンテンツを持っていても、収益に貢献するものでなければ企業としては「宝の持ち腐れ」状態とも言えます。そこで今回は、そんな魅力的なコンテンツをうまく活用して、高収益を生む製品を開発することで、好業績につなげているケースをご紹介します。

case40:バンダイナムコHD

今回ご紹介するのは、「機動戦士ガンダム」や「ドラゴンボール」など様々なキャラクタービジネスを展開する「 バンダイナムコホールディングス 」です。お菓子やおもちゃといった日用品から、アミューズメント施設の大型遊戯設備など、世界中でエンターテインメントを提供しています。

業績好調でPERも上昇

足元ではPERが27倍へと上昇しており、過去10年間の平均である24.9倍を上回っています。背景には、2019年度の四半期決算(第1四半期、第2四半期)が好調だったことで、今後の業績拡大を期待した買いが集まっているものと考えられます。

同社はお菓子やカプセルトイなどを手掛ける「トイホビー事業」や、家庭用ゲーム機を手掛ける「ネットワークエンターテインメント事業」など5つの事業を展開しています。中でも特に最近好調なのがトイホビー事業で、2018年度の実績に対する進捗率は2019年度上半期ですでに81%にも到達しています(50%が1つの目安)。

好調を支えるガンダムの「高価格フィギュア」

トイホビー事業をけん引するのは、主力コンテンツの1つであるガンダムです。中でも利益率が高いのがプラモデルで、高価格のコレクターズフィギュアの販売が好調とのこと。そのファン層は主に40−50代であるため、高価格帯でも売れるようになってきたという背景があるようです。

そのほかの「ドラゴンボール」シリーズや「仮面ライダー」シリーズ、「スーパー戦隊」シリーズ、「ワンピース」等の定番キャラクターによる玩具及び周辺商品も業績を押し上げました。こうした事業はIP(Intellectual Property)ビジネス、訳して「知的財産ビジネス」とも言います。同社は中期計画でもIPビジネスを軸にした成長戦略を掲げており、今後は中国などへの世界展開も本格的に推し進める考えです。

今回の高価格フィギュアのように、IPビジネスはキラーコンテンツになる可能性を秘めています。収益性が高い製品やサービスを、立て続けに開発・販売できるかどうかに同社の業績がかかっているかもしれませんね。

<PERの読み解き方3ヵ条>
①これからの業績を考える
②会社の人気度を考える
③投資家の心理を考える

今回は、①③からバンダイナムコHDを見てきました。強力なIPを武器に、世界中に魅力的なエンターテインメントを展開する同社。中期計画に沿って、IPビジネスの多方面への活用と、積極的な海外展開に今後も注目が集まりそうです。

本記事は、PERを解説するものであり、素材として取り上げた企業への投資を推奨するものではありません。原則として原稿作成時点における情報に基づいて作成しております。また、記載された価格、数値等は、過去の実績値、概算値あるいは将来の予測値であり、実際とは異なる場合があります。投資に関する最終決定はお客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。