人口の増加や経済発展により、世界の食料ニーズは増え続けています。こうした需要増加に対応するため、食品メーカーや種苗企業、農機メーカーなどは日々生産性の向上に努めています。また、最近では環境面に配慮する必要性も出てきており、企業は新技術の導入や代替製品の投入で商機を広げようとしています。
1360兆円に拡大する「食」のマーケット
農林水産省によると、世界(主要34ヵ国)の飲食料市場規模は、2015年の890兆円から2030年は1360兆円に増加する見込みです。地域別では成長著しいアジアが420兆円から800兆円へと1.9 倍に増加し、全体に占める割合は6割近くに達するとのこと。一方、食料の生産を巡っては、環境に負荷を与えているとの指摘もあり、資源の有効活用や環境保全といった対策が求められています。
ドローンや代替肉の活用で生産量増加に対応
食肉と穀物の生産量は増加し続けていますが、農耕地に適した土地には限りがあるため、需要増加には生産性向上で対応する必要があります。ここ数年、大型農機で作業の効率化を図るだけでなく、国内外でロボットや通信技術を活用する「スマート農業」を導入する動きもみられ始めました。
例えば農機の無人化やドローンを使うことによって、広大な農地の状況を把握することが可能になってきました。また、家畜のゲップが地球温暖化に繋がるとの指摘や健康志向の高まりから、大豆など植物由来の代替肉が注目されています。米国では大手ハンバーガーチェーンがこうした代替肉をメニューに取り入れるなど飲食業界に大きな変化が起きつつあるのです。
食料ニーズ増で商機拡大か
こうした食料ニーズ拡大で商機を拡大させている企業があります。
クボタのトラクター事業は販売数量が増加しているだけでなく、値上げ効果により北米向けが好調です。不二製油と日清食品HDは代替肉の開発を進めており、サカタのタネは悪天候に耐性のある野菜類などの開発に定評があります。クミアイ化学は、除草剤アクシーブを米国、アルゼンチンをはじめとする世界各地への販売拡大を見込んでいるとのこと。トプコンはタイ政府が推進するスマート農業実証実験に参画するなど、食のIT 化、自動化で事業拡大を目指しています。
食料ニーズの拡大という世界の大きな潮流に沿った日本企業にこれからも期待したいですね。
サカタのタネ
不二製油グループ本社
日清食品ホールディングス
クミアイ化学工業
クボタ
トプコン