貯蓄ができたら「複利の力」でつみたて投資!

敏腕ファイナンシャルプランナーが診断! あなたの家の家計事情/ 横山 光昭わか三輪もーにんぐ

家計見直しのカギは「週単位」&「脱・ワンパック型」を読む
家計ダイエットの次は、いよいよ資産形成についての相談開始。 投資する期間が、15年と20年の場合、たった5年の違いなのに、なんと利益が2倍弱も違う方法があるってホント?! そして、世界中の株式市場への投資が簡単にできちゃう方法があるってホント?! 次々と紹介される投資の極意にわかさんのモチベーションはさらに上昇。ついに、家計改造計画の最終章、お金に無頓着なご主人を意識改革することも決意しました!

−−さて、節約術もさることながら、今回の家計診断で一番聞きたかったのは、投資信託のこと。早速、横山さんと本題に入る。

横山さん

今日のこの場は、私が一方的に話すだけの場ではありません。遠慮せず、じゃんじゃん質問してください。

わか

では、遠慮なく。

横山さんに相談したいこと
・これからの資産形成方法について(投資信託)
・家計にまるで興味がない夫と認識をすり合わせるには

これからの資産形成方法について(投資信託)

実はワタクシ、イオン株が欲しくて昨年、NISA口座を開設した。が、初心者ゆえに足踏みをしてしまい「買えない」「非課税枠を使い切れない」トホホな実情があった。はりきって購入した四季報も、今や分厚すぎる鍋敷きと化している。

わか

というわけで、ある程度は分散投資される投資信託の購入を検討しています。NISAからつみたてNISAへの変更も検討していおりまして。

横山さん

いいと思います! わかさんの家は貯蓄がしっかりありますので、インフレに負けない資産形成を今すぐにでも始めた方がよろしいと思います!

わか

(横山先生の目がめっちゃ爛々と輝いている)

「投資信託」の4文字に、横山先生の瞳がキラーンと輝いたのは恐らく気のせいではない。明解にお話し下さったので、メモする私の手の力も思わず入る。

結論から言うと、生活防衛資金となる貯蓄(目安:生活費6ヵ月ほど)がある家庭は、iDeCoやつみたてNISAなどの非課税枠を最大限に利用して、今すぐにでも始めた方が良いとのアドバイスを頂いた。

例えばつみたてNISAの場合、非課税枠は年間40万円なので、積立額を月に換算すると約3万円だ。まずそのケースで試算してみた。
すると! 積立期間が15年と20年とでは5年間違うだけで、運用収益が140万円→260万円と2倍弱になっている! これが例の「複利の力」というヤツか……!

カエル先生の一言

複利の力についての記事はこちらをチェック!
「あまり知られていない複利の威力」を読む

シミュレーションと言えど、ここまで歴然とした差が出ると、皆さん「早く積み立てねば」という気持ちに駆り立てられるのではないだろうか。少なくとも私はすぐにでも始めたい。

肝心の我が家の現状はと言うと、投資信託に関しては月1万円しか積み立てていない。しかもよく分からずにS&P500を積み立てていたりする。

横山さん

ウォーレン・バフェット氏が、自分の死後に備えて、妻に「資金の90%をS&P500に投資せよ」と語った言葉からのチョイスなのですかね。S&P500も決して悪くはないのですが、米国株式100%になってしまうため、投信を1本に絞るならばオススメしません。トランプ大統領の一挙一動でいとも簡単に指数が揺れ動いてしまいますからね。

あ~、たしかに。ニュースでも株価がどうとかそんなことを言っていた。一国の大統領の発言でいとも簡単に上下してしまうのは何とも怖い。

横山さん

国内株・先進国株・新興国株が組み込まれている上場投資信託をオススメします。「VT」という言葉は聞いたことありますか?

わか

外国ETFについて調べていた時に聞いたことが!(内容は一切覚えていない)

なんだったっけかなぁ、と思いつつ、後で調べた結果がこちらである。

S&P500は、米国株式市場の中の厳選された500銘柄で構成されている。
それに対しVTは、バンガード・トータル・ワールド・ストックETFと呼ばれ、約8100銘柄の世界各国の株式で構成されている。ワールドとあるようにVT1本に投資すれば新興国から先進国まで世界中の株式市場への投資ができるのだ。

横山さん

海外ETFも良いですね。チャンスがあれば買っていきましょう!

海外ETFとは、海外の証券取引所に上場している投資信託のことだ。『海外の』とあるように、少なくとも国内で販売されている投資信託を買う要領では買えない。

と言いつつ、私も詳しくは分かっていない。なぜなら売買については未経験だからだ。

円をドルに変えたり、海外の市場が開くのは夜中だったり、配当金が貰えるが二重課税になるとか疑問だらけである。

横山さん

投資信託に海外ETF、株式の比率など、これからも勉強していって、是非わかさん自身で考えてみてください。投資商品の組み合わせ次第では想定利回り3%、いや5%も狙えると思います。

わか

あ、そこはやっぱ勉強なんデスネ。

聞けば、横山先生は株歴18年の大ベテランなのだとか。「それなりに利益も出ていますよ、むっふっふ」とそれは嬉しそうに仰っておりましたとも。イイナ~。

だが、それも日々の積み重ねの結果だ。一朝一夕で結果は出ない。

わか

日々の勉強が大事ということですね!!!

世の中の情勢を伺いながら、機会があればアグレッシブに挑戦していきたいところである。

海外ETFについては、まだワケが分かっていないものの買う気合だけは万端だ。ここで行動できないと、いつまで経っても行動できない。失敗を恐れず、できるところからやってみる心持ちが大事だ。

今年はもう既にNISA枠を使って株を購入してしまったため変更できないが、10月から来年の変更受付が開始されるので、忘れずにつみたてNISAへの変更手続きしようとかたく誓った。

※NISA口座で買付けできる商品は証券会社により異なります。また、つみたてNISAの対象商品は、手数料が低水準、頻繁に分配金が支払われないなど、長期・積立・分散投資に適した公募株式投資信託と上場株式投資信託(ETF)に限定されます。

家計にまるで興味がない夫と認識をすり合わせるには

続いて相談したのが、前編でも触れた、例の健康診断未開封夫についてである。
夫はまるで家計に興味がない。自分がいくら使っているのか把握しておらず「小遣い制、なにそれ?」状態、クレジットカードでダラダラとお買い物状態なのである。

酒・煙草をたしなむワケでもなく、ギャンブルも一切しない。根は悪い人ではないのだけれども……こんな困った夫に手を焼いている嫁さん、世にたくさん居るのではないだろうか。

わか

こんなこと横山さんに聞くのもなんですが……どうしたらいいのでしょうねぇ。

横山さん

そうですねぇ。

今は夫のクレジットカード口座を家計から切り離し、生活費に影響のないようにしているが、いつ引き落とし不能になるのかと、こちらがハラハラしている。当の夫はと言うと、口座残高を把握しているのかいないのか涼しい顔である。良い度胸だ。

横山さん

家計に興味がまるでないとのことでしたので、まずは家計の見える化を行い、情報を共有するところから始めてはいかがでしょうか。

確かに。ガミガミ言うだけで家計の見える化を曖昧にしている部分がある。家計を整理してそれぞれが開示していく必要がありそうだ。

私は普段、家計簿をつけていない。だが、今回の家計診断にあたって、スマホアプリを活用して、月の支出を把握することから取り組み始めた。意外と簡単にできたので、あとはちょちょっと分かりやすく表にまとめれば良いだけだ。

横山さん

その上で、できればパートナーに「保険の見直し」と「iDeCoの加入」を勧めてもらえればと思います。この2つを見直すだけでも、将来大きな差になります。

夫の年収は世間から見ると高給の部類である。だが、その状況に甘んじて逆にダラダラと意味もなくお金を使ってしまっているので、老後破産が多い年収とも言われている。

また、世代的に一生懸命正社員で働いてさえいれば、貯蓄がなくても国が用意する年金だけでどうにかなる、と信じている世代でもある。

わか

でも、夫の親世代とはワケが違うのだよ……。

「老後資金2000万円問題」を覚えているだろうか。あれとて金額ばかりが話題になっていたが、人によって老後必要となる金額は2000万円どころではない。確か、私が社会人になりたての頃は3000万円必要と言われていた。それぐらい曖昧でぼんやりとした金額なのだ。

でも実は大事なのは金額ではない。国が用意する年金だけでは十分な老後生活費は保障できない。自分達でもコツコツと用意していかねばらないという国からの警鐘なのだ。

その点も踏まえて、少しずつ夫に分かってもらえるようにしていくのが、今後の私の課題だ。

さいごに

横山さん

今できることからコツコツと、貪欲に支出額を縮小し、余剰資金を生み出し、インフレに負けないお金の置き方をしてくださいね!

わか

貪欲に、ですね。

横山さんが発したフレーズの中で一番記憶に残った言葉だ。

そこまでしなければ、安心してこれからを過ごせるような世の中ではなくなってしまった。10月から消費税が10%に増税となった。またあと数年もすれば、我が家の小学生2人も受験の年頃となり、晴れて合格すれば学費云々と言う話になるだろう。なるほど、気を緩めている暇などなさそうだ。

肩から下げたトートバックをぎゅっと握りしめる。家計診断の終わりに、横山さんに頂いた「家計再生計画のご提案」の紙が入っているのだ。

わか

小さなことからコツコツと頑張るぞ!

家計診断の内容と、この後訪れるであろう現実を噛み締めながら、一駅分の道のりをのんびりと私は歩いて帰るのだった。