今年2月に取引サービスをスタートしたFROGGY。そのキャンペーンで、FROGGYをご利用くださっている方を対象に、優待投資家・桐谷広人さんの株主優待講義の参加者を募集したところ、たくさんのご応募をいただきました(ありがとうございました!)。
参加された方だけで味わっていただくのはあまりにもったいないので、講義の内容を読者の皆さまにもお届けします。優待生活をはじめたきっかけや優待投資のメリットとは? 安くなったタイミングで優待株をゲットする方法とは? 優待株を800銘柄以上保有する桐谷さんの「株主優待講義」、開講です!
生活はほぼすべて株主優待!
皆さん、こんばんは。今日はこんな格好で来ましたが、全部株主優待でもらった品物です。汗をふいたのは「 サンリオ 」の優待でもらったキティちゃんのタオルです。ワイシャツは「 タカキュー 」、カバンは「 山喜 」という会社の優待券を使って買ったものですし、生活はほぼすべて株主優待でまかなっております。

優待投資家は月末になると忙しいんです。それというのも、優待券の有効期限が迫ってくるからです。今月(5月)は「 松竹 」など映画の優待券の期限が多いので、先日は1日で映画を3本見ました。『コンフィデンスマンJP』と『映画 賭ケグルイ』、『空母いぶき』、次の日には『居眠り磐音』です。
帰りには新宿の「きづなすし」で食事をしました。お会計が2139円だったので、2000円は月末が期限だった「 SFPホールディングス 」の優待券で支払い、残額も優待でもらったジェフグルメカードを使ってお釣りをもらいました。財布に入っている現金は増えたことになります。これはうれしいです。
日々の支払いには端数の部分を現金で払うことがあるくらいで、ほぼ全部、優待で生活をしております。あとは家賃や公共料金の支払いですが、これも株でもらえる配当金から回しています。ですから、生活のほぼすべてが優待と配当でまかなえていることになりますね。優待だけで生活しているというと、ちょっと特殊な感じがするかもしれませんが、意外と普通に成り立つんですよ。
優待のおかげでレッドカーペットで叶姉妹と共演!?
映画をよく見るようになったおかげで、最近は映画の仕事も依頼されるようになりました。
昨年の春はスティーブン・スピルバーグ監督が来日してレッドカーペットを歩くというので、私も歩かせてもらいました。正確には、歩かずに、自転車でレッドカーペットを走ったんですがね。私の前に歩いたのは叶姉妹でした。叶姉妹のあと、自転車のかごにスピルバーグ監督の代表作である『E・T』の人形を乗せて走ったんです。
優待で生活ができるだけでなく、優待消化のために半強制的にいろんなところに行ったり、チャレンジするようになり、人生が切り開かれているように感じます。

2億円超の大損! 優待投資にたどり着くまで
おそらく日本でいちばん初めに株主優待で生活するようになったのは、私だと思います。べつに「優待で生活しよう」と思ったのではなく、仕方なく優待で生活するようになったんです。
私は2007年に将棋を引退し、「この先は悠々自適の生活だな」と思いました。将棋の勉強をしなくてよくなったので時間もあります。将棋の代わりに株の勉強をして大金持ちになれたらいいなと思っていたんです。
ところが、「信用取引」というリスクの高い方法で株を買ったら、アメリカで「サブプライムローン」という債権の問題が起きて、株式市場が下がってしまった。それでも経済評論家は「サブプライムローンは大した問題ではない」なんて言うもんですから、下がったところをさらに信用取引で買っていったんですね。
そうしたらリーマン・ショックで株式市場が大暴落してしまった。信用取引だと儲かるのも早いですが損をするときも早いんです。ものすごくヤラれて、2億数千万円の損失を出してしまって、本当にお金がなくなってしまった。「これはもう田舎に帰らなきゃいけないかな」と途方に暮れましたよ。

それからは信用取引をやめて、売れる株もほとんど売ってしまったんですが、「50万円で買った株が10万円になった」なんていう銘柄がちょこちょこあったんです。さすがに売るに売れない状態だったので、そのまま持っていたんですね。そんな会社から優待券が送られてきたんです。
以前は優待が送られても気にすることはなかったですが、当時は本当にお金がなかったので、これを使って生活しようと。こうして、株主優待で生活するようになったんです。
「いただいた優待で生活しよう」「株価は上がらなくてもいいや」と思うようになってから、心穏やかに過ごせるようになりました。株主優待は、どうしても株価の動きに一喜一憂しがちな初心者にもおすすめだと思いますね。株価が下がっていても優待が送られてきたら、やっぱり嬉しいもんですよ。
優待目当てで一番最初に買った株
優待目当てで一番最初に買った株は、「日活」でした。映画が見られるかなと思って買ったんです。ただ、近所に優待券が使える直営の映画館がないことがわかり、すぐに売りました。そのあと、この会社は倒産しました。危なかったですね。優待目当てで買っても倒産してしまったらまったく意味がないですからね。
リーマン・ショックは豆腐と自転車で乗り切った
いちばん役に立ったのは「 篠崎屋 」という会社の優待。残念ながら今は優待をやめてしまいましたが、豆腐屋さんの会社です。近所にお店がなく自転車を30分くらい漕いで、500円の優待券を使って豆腐やこんにゃくを買って帰ったんです。
豆腐は栄養が豊富なんです。私はプロ棋士をめざして18歳で東京へ出てきて、給料をもらえるようになるまで7年4ヵ月かかったんです。プロになるまでは1日2食、インスタントラーメンを食べていたら胃を壊して胃潰瘍になったりしてね。そのあとに、「豆腐は栄養があって安いんだ」と聞いたので、豆腐をおかずにしてリーマン・ショック後の数年間をしのぎました。
このころは本当にお金がありませんでした。

あるとき、映画を見るために木場まで電車で行ったんです。片道240円だったかな。帰り道も240円を払うのはつらいので節約しようと、ひと駅分歩いたんです。ところが運賃表を見ると、ここからでもまだ240円なんです。仕方ないですから、もうひと駅分歩いて、それでも240円。日本橋まで歩いてやっと200円だったので、それで帰りました。
自転車で移動するようになったのも、このころですね。映画を見るために銀座まで電車で行くと往復で580円かかったんですね。当時は電車賃も本当になかった。いくら優待券があるからといっても電車代に580円も払いたくない。自転車で行くほかないということで、自転車で移動するようになったんです。
約1000社の銘柄管理法
「私が日本で最初に優待で生活した人間だろう」と話しましたが、優待生活のためにはいろんな株を持っている必要があります。当時は200社あまりの優待株を持っていました。すると「優待株をたくさん持っている」ということでマネー誌に取材されるようになったんです。「金持ち日本一」にはなれないけど「優待日本一」だったらなれるかも、と優待株を集めるようになりました。
今は優待株だけで800銘柄以上、すべて合わせて970社くらいの株を持っています。売ったり買ったりしているので銘柄数は変動しますけどね。
私は結構売買しているんですが、ノートを毎日つけています。このノートですね。日々の売買や株主優待の新設や廃止、変更、「いいな」と思う銘柄をちょこちょことメモしているんです。

1日の取引を1行にまとめて書いています。『売った株は左側、買った株は右側』です。ピンク色で囲って、黄色い印をつけているのが、新たに買った優待株です。
最近は優待株が安くなっているので結構、買っていますね。今日買ったのは、「 第一稀元素化学工業 」という会社。757円で100株買いました。このまま3月末まで保有していると、1年で2000円の配当がもらえて(会社予想)配当利回りは2.34%(9月11日終値で算出)。さらに優待品として2000円分のQUOカードがもらえるんです。
ほかにも、ノートには「チャンスがあったら買いたいな」と思う銘柄を書き出しています。そうすると、後日売買するときに便利です。書くことは結構大事なんですね。書くことで記憶が定着しますし、読み返すことで売買の参考にもなります。
そこらへんの紙にメモするだけでは、紛失したりしてわからなくなってしまうので、株式投資専用のノートを作るのは大事なことだと思いますね。私の場合、1冊のノートをだいたい1年半から2年くらいかけて使っています。

「いい株主優待を実施している会社は倒産しにくい」
私は35年ほど株をやっていますが、昔は株主優待制度取り入れている会社は少なかったし、配当利回りもバブル時代には1%ある会社はほとんどなかった。しかし、最近は株主優待を行なう会社も増えました。
「 オリックス 」が2015年から始めた「ふるさと優待」は、なんと17万円ほど(9月11日終値で算出)の投資で5000円分の商品がもらえるんです。「こんなにいい優待をくれて大丈夫なんですか?」とオリックスの担当者に聞いたことがあるんですが、「大丈夫です」と言うんですね。
それというのも、オリックスはリーマン・ショック前後で株価が20分の1になってしまった。「機関投資家は何かあると徹底的に売ってくる、個人投資家を増やそう」と思ってのことなんでしょうね、これだけ魅力的な優待を設置してくれたようなんです。
株主優待で救われたのが「
日本マクドナルドホールディングス
」です。2014年に期限切れの食肉を使っていたことが問題になり、大赤字になりました。実際に近所の店を見に行っても、誰も店頭に並んでいないんですよ。
そんな状態ですから株価も2800円から一瞬2200円まで下がったのですが、それ以上は下がらなかった。
なぜかというと、株主優待を行なっていたからなんですね。安くなったら買いたいと思っていた優待投資家がたくさんいたから、それ以上暴落しなかったんです。マクドナルドはそのあと連続増益を達成して、株価が5000円台まで上昇しました。
いい株主優待を行なっている会社は、経営がピンチになっても優待投資家が見放さないから、不祥事が起きても株価が下がりにくくなる効果があるんです。

だけど、お金持ちほど株主優待に反対します。1万株持っていても100株持っている人の100倍の優待をもらえない会社がほとんどだからです。機関投資家も同じです。それに、優待は基本的に海外へ発送しないので、外国人投資家も優待に反対のようです。
「年初来安値」した優待株を狙う
だから、株主優待を設置している企業は個人投資家を大事にしてくれている会社だと解釈することもできるわけです。これから資産を増やそうとする個人投資家は、優待銘柄を買っておくと、優待がもらえるし、株価も下がりにくいし、いいと思いますね。
ただ、下がりにくいといっても、株式市場全体が下がるときには優待銘柄も値下がりすることがあります。だから、私は指値をずっと入れています。指値というのは「安くなれば買う、高くなれば売る」と価格を指定しておく注文方法です。今日買った第一稀元素化学工業も、以前に安値に入れておいた指値が成立して買えたんです。
どんな銘柄に指値を入れるかというと、まず「年初来安値」というのがインターネットで見られます。今年の安値を更新した銘柄のリストですね。そのなかから、株主優待を行なっている会社を選ぶんです。
自分は会社名を見れば、だいたいどんな優待があるのかわかるんですが、最初はわからないですよね。でも、インターネットで調べればすぐに出てきます。「この優待を欲しいな」というものがあれば、一緒に「配当利回り」も見てください。配当利回りは1年間でもらえる配当の金額と株価の割合です。株主優待が魅力的で、なおかつ配当利回りが3%、4%といった水準にあると、私は指値を入れようと思います。
そうやって発注した指値が成立するということは、株価が下がっている状況です。もしかするとそのあともまだ株価が下がって含み損となり、嫌な思いをするかもしれません。でもさらに下がったとしても、年初来安値の銘柄を買っているわけです。自分より前に買った人たちは自分よりも損をしていることになりますから、「まぁいいや」という気持ちになれます。

そうやって安いところで買っていれば、企業が株主優待をやめたり、配当がなくなったりしないかぎり、いずれ株価は回復する可能性が高い。嫌な思いをする瞬間もあるかもしれませんが、待っていれば優待品や配当が送られてきますし、長い年月のうちには勝てると思って私はやっています。
暴落時に買うための資金を用意
逆に、いい優待をやっていても高い株はなかなか買えません。私でしたら、「 オリエンタルランド 」がそうですね。東京ディズニーリゾートの運営会社です。以前、持っていたので毎年、行っていました。早い時間に行っても、乗り物に乗るのに待たされますから、夕方から行きましたね。夜は空いているので、少ない待ち時間で乗れるんです。乗り終わったら走って次の乗り物へ行ってね。1人で乗るんです。
ですが、オリエンタルランドは株価が値上がりしたので売ってしまいました。安くなったら買いたいとずっと思っているんですが、高いままなので買えていません。優待がよくても株価がそれ以上に値下がりしてしまったら嫌ですから、仕方ないですね。高いところで買いたくはないですから。
ただ、景気がよくなったり悪くなったりするのにつれて、株価も上がったり下がったりします。あるいは天災が起きたときに株式市場全体が暴落することもあります。
欲しい銘柄があるなら、そういうときを狙って買うのもいいですね。私は暴落時に安くなった優待銘柄を買うための現金も用意しています。
株式市場では儲かる人がいる一方で、負けたり損したりする人も少なくありません。値上がりだけを狙うのではなく、株主優待や配当に着目し、優待・配当をいただきながら、人生を楽しむほうがいいのではないでしょうか。

①優待消化のために半強制的に色んなところに行くので、人生が切り開かれる
②値上がりを狙うのではなく、株主優待や配当に着目することで、心穏やかに過ごすことができる
③いい株主優待を実施している会社は、経営がピンチになっても優待投資家が見放さないから、株価も下がりにくい傾向がある
値上がり目当ての株式投資でいい思いもつらい思いも味わった桐谷さんが見つけた、人生を豊かにする優待・配当狙いの株式投資。
ぜひ皆さんも挑戦してみてはいかがでしょうか。「やってみたい!」と思ったアナタには、きっと疑問も生まれましたよね。それはこの特別講義の参加者も同じ。桐谷さんのお気に入りの銘柄は? 優待投資で気を付けるポイントは? 次回は参加者と桐谷さんとの間で繰り広げられた質疑応答の様子をお届けします!