まだ削れる!食費・交際費・生命保険で家計見直し

敏腕ファイナンシャルプランナーが診断! あなたの家の家計事情/ 横山 光昭吉玉サキ三輪もーにんぐ

残高10万円…フリーランス夫婦の家計簿を読む
家計クライシスに陥ったフリーランス夫婦の吉玉家。FPの横山光昭さんが指摘したのは、「食費・交際費・生命保険」。「これ以上削れない!」と思っていた吉玉家の家計にも、まだ改善の余地が――。“外食”は「食費」なのか、「娯楽費」なのか? 「交際費」から明らかになった“無視できない交通費”。なんとなく加入していた「貯蓄型の生命保険」については、「現金や保険でお金を貯めるのはナンセンス!」と一刀両断! 横山さんのアドバイスで、フリーランスライター・吉玉サキさんは、どこまで目覚めることができるのか?!

横山さんの家計診断を受けた

6月某日、私は新宿のマイエフピーにいた。面談室に通され、横山さんとスタッフのWさんと対面。横山さんは朗らかな雰囲気の方だった。

まずは家計状況の申告。Wさんに収入を聞かれるが、実はちゃんと計算したことがない。案件によって価格が違うし、メディアによって当月払いだったり翌月払いだったりする。一応、10万円と申告した。

夫の収入も把握していない。ちなみに、夫は私にキレられてから必死に営業を始め、お仕事を多数いただけるようになった。今は納期に追われてヒーヒー言いながらも楽しそうに働いている。が、この時点では忙しくなってまだ1ヵ月経っていなかったので、3万円と申告した。

次に支出。光熱費や通信費、国民年金などの固定費は答えられる。しかし、食費や交通費となるとよくわからず、適当に答えてしまった。

すべての質問に答え終えると、Wさんが計算。その結果、収入に対して支出が3万7000円多い。今までどうやって支払ってきたんだろう……?(帰宅後にちゃんと確認したところ、私の収入は変動があるものの月に15万円以上はあった。申告額が少なかったのだ)

吉玉家の基本情報
家族構成:妻(30代)、夫(40代)
職業:妻はフリーランスのライター、夫はフリーランスのイラストレーター
世帯年収:フリーランスにつき変動。150万~円
1ヵ月の生活費:家賃(年間)63万円、食費4万円、交際費2万円、生命保険料2.4万円
相談したいこと:どうしたらお金が怖くなくなるか

さて、いよいよ横山さんの面談スタート。

横山さんは、家計状況を書いた紙を見て何やら頷いている。赤字を怒られるかも……と萎縮していたら、

横山さん

全体としてはしっかりやりくりできてますね。スマホも格安SIMだし、無駄な支出はあまりないですね。

と言われ、安堵した。

どうしたらもっと支出を抑えられる?

横山さん

でも、削れるとしたらここですかね。

横山さんの眼鏡の奥の目が光った(気がした)。横山さんが目をつけたのは食費・交際費・生命保険。順に見ていこう。

●食費……4万円

我が家は基本的に自炊。だけど1ヵ月に1回くらいはふたりでラーメン屋や立ち飲み屋に行く。私はそれも食費に計上していたが、考えてみたら娯楽費だったかも。

私が買い物と家計管理をしていたときは、食費は月3万円弱だった。しかし夫に買い物を任せると、産地や添加物にこだわっていい食材を買うので食費が高くつく。だからたぶん4万円くらい。

もっと安くするにはどうしたらいいか? 考えた結果、自転車で遠くの安いスーパーに買出しに行くことにした。

以前は夫のバイクで安いスーパーに行っていたが、壊れて廃車にして以来、近くの高いスーパーで買い物をするようになった。けれど、これを機に自転車で遠くまで買出しに行こう。食費を3万円弱に戻せたら1万円も安くなる。

●交際費……2万円

私は月に1~3回は友達とランチしたりお茶したりする。夫と共通の友達が多いので、夫婦で同じ飲み会に行くことも。1回の外出にひとり5000円使うとして、月2回×2人で2万円。

……と思ったのだけど、帰宅後にあらためて計算してみたところ、私が「1回の外出に5000円」と計算したのは交通費も含めての額だった。

交通費を除いた交際費(主に飲食代)は下記の通り。
4月……9000円
5月……3500円
6月……2000円

ふたり合わせての金額だが、4月と5月はなんと夫の交際費が0円だった(夫は友達が少ない)。これ以上は減らせる気がしない。

交通費はというと、仕事もプライベートも入れてこんな感じ。

4月……1万円
5月……9000円
6月……6000円

郊外に住んでいるので、都心に出ると往復で1200円~1500円くらいかかるのだ。

しかし、家から駅までバスを利用しているので、バスをやめて自転車にすると交通費を減らせる。駐輪場に100円払うとしても、1回の外出につき380円も安くなる。月に1500円くらいは節約になるだろう。

●生命保険……2万4000円

私と夫は某大手保険会社の保険に入っている。知人が勤務していて、私たちに最適なプランを考えてくれた。2人分でだいたいこんな感じ。

生命保険……月々払うものではなく一括で払う貯蓄型。額はヒミツ
個人年金……1万円
医療保険……1万4000円

生命保険は夫の名義になっていて受取人は私なのだけど、夫に何かあったとしても下りる金額はたいしたことない。手元にあると使っちゃうから保険にしただけだ。

私がそう話すと、横山さんは言った。

横山さん

今の100万円が30年後も同じ価値とは限りません。インフレリスクを考えると、現金や保険で貯めるのはナンセンスです。それよりも投資で将来に送ることをお勧めします。

保険会社に払うよりも、iDeCoやつみたてNISAでお金を増やすほうが得策という考えだ。個人年金も同様。

横山さん

今は家計が赤字なので、まずは黒字化させましょう。黒字化して安定してきたら投資を考えてみてください。でも、生命保険と個人年金は現状を考えると解約を検討してもいいかもしれません。

問題は医療保険。こればっかりは、入っていないといざというときが怖い。

横山さん

現状カバーできているのは入院と手術の保障だけですよね。国内の大手保険会社の商品はどうしても高くなるんですよ。しかしたとえば○○社なら、今と同じ月額で癌を含めた三大疾病の保障もつけられます。

なるほど。医療保険を他社に乗り換え、個人年金を解約すれば、月に1万円支出が減る。

我が家の今とこれから

横山さんからのアドバイスはまとめると下記の通り。

①毎月の収入と支出を把握しよう
②生命保険を見直そう
③将来的には投資に目を向けよう

「アドバイス通りにしたら、私でも将来なんとかなりますか……?」

おずおずと尋ねると、横山さんは「もちろんです!」と言う。心底ほっとした。

家計診断によってやるべきことが明確になった。帰宅したらすぐに夫と話し合い、家計管理を私が担当することにした。さっそく夫と私の収入を生活費の口座にまとめる。また、一年半ぶりに家計簿もつけ始めた。

次に、夫の同意を得て保険を解約することにした。知人に連絡を入れ、今は手続きの途中だ。

印税が入ったらiDeCoを始めようと思い、今はiDeCoに関する記事を読んで理解を深めている途中。月の掛け金が5000円でも節税効果があるらしい。

どれもまだ動き出したばかりで結果は出ていないけど、この記事に書いたことをすべて実行すれば、おそらく月に3万円ほどは節約できると思う。
お金恐怖症になってからの一年半、私は現実から逃げていた。

けれど、逃げずに向き合えばきっと未来は明るい。そう信じて、私は今日も自転車に乗り、家計簿をつける。