今の社会動向や投資環境をもとに旬な銘柄を毎月選定している「日興ストラテジー・セレクション」。8月号の新規採用銘柄は、無人時間貸し駐車場の「タイムズ」でおなじみの「パーク24」です! パーク24の投資ポイントをチェックして、これからの銘柄選びの参考にしてはいかがでしょうか。
無人時間貸し駐車場のパイオニア「パーク24」
クルマで出かける際に困るのが駐車場の確保。買い物、知人宅への訪問、役所手続きや歯医者など、クルマで出かけたものの、目的地に着いたのに駐車できず途方に暮れたという経験がドライバーの多くにあるのではないでしょうか。
そんなドライバーの頼もしい味方が、無人時間貸し駐車場のパイオニアにして最大手の「 パーク24 」です。黄色地に黒字で書かれた「Times」の看板を様々な場所で目にすると思います。1991年に第1号の24時間無人時間貸し駐車場物件となる「タイムズ上野」(東京都台東区)をオープンして以来、ドライバーのニーズと土地の有効活用ニーズを掴んで物件数を増やしてきた同社。日本全国で運営しているタイムズパーキングは、なんと1万8333件、59万484台分にのぼります(2019年6月末現在)。
車は「持つもの」ではなく、「シェアするもの」へ
多くの人にとってクルマは生活に欠かせないモノです。しかし、人々の消費意識に変化が起こり、「車を持つこと」に対する考え方に変化が起き始めています。
モノを自身で所有して使うという考えが薄れ、モノやサービスを必要に応じて交換・共有するシェアリングエコノミーが普及してきています。クルマに関しては、所有することで負担が増える車検代や税金、保険料などに対するコスト節約志向の高まりもあり、持つから「シェアする」方向に消費が動いています。
交通エコロジー・モビリティ財団のデータによると、カーシェアリング市場は拡大の一途をたどっています。2009年以降は車両台数、会員数ともに毎年顕著に増え続け、2019年3月時点で車両台数は3万4984台(前年比19.8%増)、会員数162万6618人(同23.2%増)、そしてカーシェアリング車両ステーション数は1万7245ヵ所(同15.4%増)という状況です。
そんな変化の流れに乗り、2009年にはレンタカーおよびカーシェアリング事業をスタートさせた同社。他社に比べて後発ながら、2019年現在、カーシェアリングの国内市場シェアにおいて車両台数、会員数ともに約7割を占め、トップシェアを誇っています。
カーシェアリング市場拡大の波に乗り業績アップ
カーシェアリング市場の拡大の背景には、コスト節約意識の高まりや消費スタイルの変化がありますが、それを普及させたのは、時代の流れを読みモビリティ事業に参入した同社の貢献も少なからずありそうです。駐車場経営で培ったノウハウを持ち、さらにはカーシェアリング車両ステーションとして自社駐車場を利用し会員数を増やすなど、市場の拡大に繋げています。
同社のモビリティ事業に占めるカーシェアリングの営業利益は51億円(2018年10月期)と前期比45.4%アップ、2019年10月期上期では前年同期比+83%の営業増益です。
2019年10月期も営業最高益更新へ
安定的に利益が出る駐車場に加え、拡大期に入ってきたカーシェアが追い風となり、2019年10月期第2四半期累計(11ー5月)の同社事業全体の営業利益は99億円(前年同期比7.5%増)と会社予想93億円を超過する結果となりました。
今期は本社移転や東京五輪の公式スポンサー費用などの一時的な全社費用が膨らむものの、行政や鉄道会社と協働で行う観光振興型カーシェア展開への取り組みや、国土交通省が提言する違法駐車対策をはじめとした駐車場政策など、業績拡大への期待要因も持ち合わせています。
2019年10月期通期では、売上高3200億円(前期比7.2%増)、営業利益226億円(0.3%増)の会社予想を立てています。微増ながらも営業利益の過去最高更新が期待できそうですね。
人・街・クルマをつないで快適な社会づくりに貢献
クルマでの外出時に必要不可欠な駐車場ニーズをつかみ、日本全国で無人時間貸し駐車場を運営している同社は安定的に利益を伸ばしています。2009年に参入したモビリティ事業でも、カーシェアリング市場拡大の追い風を受け好調です。いま取り組んでいる観光振興型カーシェア展開などで訪日観光客の利用拡大が望めれば、同社の今後のさらなる発展に期待がかかりますね。
日本M&Aセンターについては、事業承継ニーズなどは引き続き高いものの、企業規模の拡大などに伴うコストが増加し、利益成長率が鈍化。再び利益成長率が上昇するには時間を要するのではないかという懸念があります。
また、TDKについては、稼ぎ頭であるリチウムポリマー電池など二次電池事業の中核が香港子会社ATLであることなどから、米中貿易摩擦の悪影響を継続的に受ける懸念を考慮しました。