2019年前半の日本の株式市場は、昨年末に引き続き米中貿易摩擦に大きく左右される展開が続きました。そんな中、IPOが好調な背景は? 大きく上昇した銘柄は? 株式市場全体の動きとともに、IPOマーケットの動向を振り返ってみましょう。
貿易摩擦リスクで上値重い
2019年1月4日に1万9561円(終値)でスタートした日経平均株価。米中貿易摩擦がリスクとして意識される中で、米国や中国の景気がそこまで悪くないことが伝わると4月末にかけて上昇する場面がありました。
しかし、5月5日にトランプ大統領が追加の対中関税引き上げに言及。その後株価が調整したこともあり、米国で利下げ期待が高まりました。緩和期待から徐々に株価は反発しましたが、円高が進行したことで日本株の上値は重い状況が続いています。
小型IPO比率が高水準
そうした中、IPOマーケットは好調を維持しています。2019年1ー6月の上場数は38社でした(プロ市場を除く)。上場ペースは2018年の上半期を上回るペースとなっており、引き続き上場に対する企業のニーズは高い様子がうかがえます。また、初値パフォーマンスは36勝2敗でした。相場が軟調であったのに対してIPO市場は総じて好調だったといえるかもしれません。
この上半期の特徴の1つとしては、小型株が多いことが挙げられます。発行額が100億円以上の企業は2018年の上半期に6社、下半期は6社あったのに対し、2019年上半期は1社だけでした。100億円未満のいわゆる小型株の比率が97.4%と、2010年以降でもっとも割合が高い状況となっています。
旬な材料を追い風にする企業が躍進!
個別でみると、 初値上昇率トップはサーバーワークスで、上昇率は277%でした。同社は米アマゾン傘下のクラウド・アマゾンウェブサービス(AWS)の導入支援などが主力で、働き方改革を追い風に、リモートデスクトップへの移行案件も増加しているとのことです。
また、世の中の避けられない流れを追い風にする企業としては、スマレジが挙げられます。同社は、スマートフォンなどのアプリを使った無料POSレジシステムを手掛けています。中小企業・店舗の単なる売上の管理だけでなく、2019年10月の消費増税対応や、QRコード決済サービス対応などもサポートしています。
こうした旬なイベントや材料に関する銘柄については、注目度も高まりやすく、初値も上がりやすいかもしれませんね。
サーバーワークス
Welby
ハウテレビジョン
ブランディングテクノロジー
バルテス
識学
スマレジ
リビン・テクノロジーズ
インフォネット
ヴィッツ
横ばい推移だった株式相場を横目に、36勝2敗と好調だった2019年前半のIPO市場。大型株がない中で、豊富な株数を手に入れるのはなかなか難しいですが、これからも注目していきたいですね。
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