ほとんどの人が納めている「税金」。納税は国民の義務ですが、実はよく分からずに支払っていませんか? ところが、理解できれば、節税も可能に! 収入は増えづらいのに、消費増税が迫っているこの時代。「税金」を理解して、手取りを増やしちゃいましょう! この連載では、元国税局職員のお笑い芸人・さんきゅう倉田さんに、知って得する税金の話を教えてもらいます!
・税金には「国税」と「地方税」がある
・税金=国の運営費なので、所属しているみんなでまかなう必要がある
・消費税が上がるのは、現役世代の負担をこれ以上増やさないため
・消費増税の前に買っておいた方がいいものとは?
・現在、日本にある税金は約50種類。そのうち知っておいた方がいいのは、約10種類
<登場人物>
さんきゅう倉田さん
よしもと所属の芸人。元国税局職員。
S子
フロッギー編集部員。フリーランスで青色申告4期目。節税に情熱を注ぐ。
C江
元経理。配偶者の扶養範囲内で働く、ちゃっかり屋。
税には「市税」「都税」「国税」がある?!?
S子
この前さ、住民税を納めに市役所の窓口に行ったの。それで、ついでだから自動車税も払おうとしたら、「ここでは受け付けられません」って言われてさ……。
C江
えっ! なんで? 同じ税金なのに??
S子
なんか、税金といっても「市税」「都税」と「国税」があって、市役所の窓口で受け付けてるのは「市税」に限るって。つまり住民税は市税で、自動車税は都税だ、と。今まで意識したことなかったから、ビックリした。
税金は、国庫に納める「国税」と、地方に納める「地方税」があります。さらに地方税には、「都道府県民税」と「市町村民税」が存在します。
C江
税金=「支払わないといけないもの」という認識だからか、「払えばいいんでしょ」ってな感じで、今まで深く考えたことないかも。そういえば、年末にパート先から「源泉徴収票」をもらったけど、実は見方が分かってなかったり……。
S子
源泉徴収票ねーー、最初の額面から色々と引かれて、「手取りはこうなったよ」って情報が載ってることはわかる。
C江
その色々と引かれてるのが「税金」なんだよね。
S子
「節税」って言葉があるじゃない? もしかして、知らないうちに損してることがありそうな気がしてきたよ。
C江
秋には消費税が上がるし、税金について自分たちが取りうる策を教えてもらいに行こう!
税金って払わないといけないの?
S子
こんにちは。納税しつつ節税もキッチリできるようになりたいです!
倉田さん
こんにちは。好きな言葉は「納税」。さんきゅう倉田です。
C江
倉田さんって、今はお笑い芸人ですが、元は国税局の職員だったんですよね?
倉田さん
はい。公務員試験のあと、いくつかの職種の説明を聞いたなかで、国税局の仕事が面白そうだと思って、国税局に勤めることを決めました。もともと計算は早かったし、お金まわりのことに興味があったんです。
C江
国税局の職員って、イメージできないんですが、どんなお仕事なんですか?
倉田さん
僕が在籍していたころは、法人に調査に行く担当、個人に調査に行く担当、相続・贈与担当、領収などの窓口業務や納付相談・納付指導を行う管理・徴収担当とあって、僕は法人担当でした。
国の税金に関する行政の組織は、「財務省主税局」「国税庁」の二つに分けることができます。
財務省主税局が行うのは、税に関する法律や制度の企画立案。
倉田さんが属していた国税庁は、税金の負担額を決めて徴収する仕事を担っています。
S子
単刀直入にお伺いさせてください……どうして税金って払わないといけないんですか?
倉田さん
その質問、大人向けでも子ども向けのセミナーでもよく聞かれます。税金のイメージを聞くと、払いたくないもの、罰である、などネガティブな意見も出ます(苦笑)。いろんな説がありますが、僕は「日本というグループに所属するための会費」ですよ。とお伝えしています。
倉田さん
グループを運営するためには町内会だって、ファンクラブだって運営費が必要ですよね。その運営費にあたるものが「税金」なんです。なので、所属している人みんなで負担して払いましょう! とお話しています。
C江
なるほど。国の運営費ってイメージするのは、分かりやすい。
倉田さん
国の収入と支出ってこんな感じなんですよ。
S子
おおー! 収入と支出がトントンだ。
C江
運営費だから使い道が決まっていて、毎年使いきるよう国が予算を立てているんですね。税金=運営費として必要な分だとしたら、国民が払わないと国が回らなくなっちゃうってことですか。
倉田さん
そうです。でも国の予算に対し、税収でまかなえているのは約60%。残りは国の借金である国債などを発行している状況です。
S子
国に集まる税金のTOP3は、所得税・法人税・そして消費税なんだ。
C江
支出として最も割合が多いのは、医療や介護、年金の一部など社会保障なんですね。そのほかにも、警察の犯罪取り締まりや消防。役所のサービス、道路の整備など、なくなると困るものばかり!
どうして消費税がUPするの?
S子
今のままでは財源が足りなくなるから、消費税が上がるんですよね? でもどうして、所得税や法人税ではなく、消費税が上がるんですか?
倉田さん
それは、いま働いている現役世代に負担をかけず国民全体で広く負担しよう、という考えに基づくんですよ。
現在、少子高齢化が進み、社会保険料など現役世代の負担はいよいよ高まるばかり。そんななか、社会保障財源のために所得税や法人税の引上げを行えば、一層現役世代に負担が集中することになります。
このため、特定の者に負担を集中させず、高齢者を含めた「国民全体で広く負担する」消費税が、「高齢化社会における社会保障の財源にふさわしい」というのが国の見解。
また、所得税や法人税の税収は不景気のときに減少しますが、消費税は税収が経済動向に左右されにくい、安定した税であると見なされています。
C江
なるほど。消費増税イヤだわーと思っていたけれど、一応現役世代のことを思っての策だと知って、見方が変わりそう。ところで、これからも税金は上がっていってしまうんでしょうか?
倉田さん
世界的にみると、デンマークやノルウェーの消費税は25%なので、日本の8%(取材時)はまだ低いとも言えるかもしれません。
S子
そうなんだ……。先生! 消費増税の前に、取っておくべき策はありますか?
倉田さん
住宅や車などを増税前に駆け込みで買う方はいらっしゃるようですね。でも……
S子
でも??
倉田さん
本当に欲しいもの・必要なものでないならば、「増税だから」という理由で買うことはないのではないでしょうか?
どんな税金があるの?
C江
日本に住んでいる限り、税金は払わないといけないということは分かりました。その税金なのですが、どんなものがあるんですか?
倉田さん
税金には、国に納める国税と、都道府県と市区町村からなる地方自治体に納める地方税があります。日本には現在およそ50種類の税金がありますが、身近なものは下記の通りです。
・所得税:個人の所得(儲け)にかかる
・消費税:モノやサービスを受けたときに払う
・住民税:所得(儲けた)金額にかかる税金のうち地方自治体に納めるもの
・相続税:亡くなった人から財産をもらった時にかかる
・贈与税:生きているうちに財産をもらった時にかかる
・印紙税:契約書など印紙を貼ることが義務付けられている書類を作成したときにかかる
倉田さん
法人税は法人税法、所得税は所得税法など、それぞれ法律で決まっています。
倉田さん
そして、身近だけれども、よく分かっていないのがこちら。
・たばこ税:たばこにかかる
C江
酒税とたばこ税が「身近だけど、よく分からない」というのはどういう意味ですか?
倉田さん
金額のうち何円分が税金か分からないですよね。消費税は8%(取材時)って、分かっているし、レシートにも記載されていますけど、たばこは販売価格に含まれて表示されています。ちなみにたばこの税率は約150%なんですよ。
S子
えっ、もともとのたばこの価格が100円だとしたら、150円の税がプラスされて250円で売っている、ってことですか?!
倉田さん
そうです。440円のたばこで計算すると、国たばこ税・地方たばこ税・たばこ特別税を合わせた、たばこ税の税率は、本体価格の150%ほどになります。
倉田さん
酒税も、ビールや焼酎など原料やアルコール度数に応じて税金がかかっていますよ。
S子
そういえば第3のビールや発泡酒の酒税が上がるってニュースで見ました!
倉田さん
僕は、ビール派なので、今後、第3のビールの酒税があがって、ビールの酒税がさがるのが嬉しいですね。そうそう、ビールの中でもオリオンビールは酒税が安いんですよね。
C江
同じビールなのに?
倉田さん
沖縄県に適用される、税金の軽減措置ルールがあるんです(2022年まで)。ほかにも、街中に免税店があったりもしますよね。
C江
へぇ~。国内でも地方によって特別措置があったりするんですね。
S子
ところで、払わなきゃならない税金の額ってどうやって決められるんですか?
倉田さん
それについては、次回詳しくお話ししましょう!
税金は、国(運営元)へ納める会費。