マーケットの「温度感」がわかる連載「カエル先生のマーケットハイライト」。NYダウは7月3日に史上最高値を更新したものの、日経平均株価はなかなかその勢いについていけずにいます。どうして日本株は出遅れているの? 7月の注目イベントは? そんな疑問にカエル先生がお答えします!
6月は、米国の利下げ観測が高まったことから、日経平均株価は反発しました。ただ、円高が進行していることから、輸出関連企業の収益下押し懸念などもあり、NYダウと比べると日本株は上値が重い状況です。円高は気になるところですが、7月下旬から始まる3月期決算企業の第1四半期決算発表次第では、日本株に見直し買いが入る可能性も考えられます。
6月は米利下げ観測の高まりで株価反発
6月28日の日経平均株価(終値)は2万1275円で、前月末比674円高でした。
米中貿易摩擦による景気減速懸念などから、5月まで下落が続いていた日経平均株価。しかし、6月4日に米国のパウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長が、利下げ(金融緩和)の可能性を排除しなかったことなどから、株価は反発しました。FRBは米国の金融政策を司る機関で、日本では日本銀行にあたります。その議長の発言はマーケットに大きな影響を与えることが少なくありません。
実は出遅れている日本株
反発し始めた日本株ですが、米国の代表的な株価指数NYダウと比べると、6月は実は出遅れていることがわかります。NYダウは今年の高値を更新する勢いですが、日経平均株価は伸び悩んでいます(終値ベース)。
円高が株価上昇の妨げに
日本株が出遅れている主な理由は為替にあります。
5月の連休以降、ドル安円高傾向が続いており、株価の下押し要因となっています。ただ、円高の理由が5月と6月では異なります。5月は米中貿易摩擦のさらなる悪化などが懸念され、投資家がリスクを回避するために円買いを進めたことが要因となっていました。一方、6月に入ってからは、米国の政策金利の引き下げを予想する声が広まってきたことで、米国の長期金利が低下し、ドル売り円買いが進みました。
一般的に為替のマーケットでは、金利が低い通貨から高い通貨にお金が移動します。日米の長期金利を比べると、金利水準そのものは米国のほうが高い状態にあります。しかし、日本の長期金利がほとんど動かないなかで、米国の長期金利がどんどん低下するために、為替市場ではドル売り円買いが進むという状況にあります。
円高は、輸出関連企業が海外で生み出した収益を目減りさせてしまいます。そのため、NYダウよりも日本株のほうが株価反発のペースが緩やかになっているものと考えられます。
7月は第1四半期決算発表に注目!
7月は、下旬から始まる3月期決算企業の第1四半期決算発表に注目が集まります。円高進行が気になる場面ではありますが、4-6月で着実に収益を積み重ねている状況が確認できれば、基本的には日米の金融政策が緩和方向に舵を切っている場面なので、日本株の見直し買いが入る可能性があります。もちろん四半期収益の進捗によっては、企業ごとに選別の色合いが強くなるかもしれません。気になる銘柄があれば、決算発表日をチェックして売上高や営業利益の進捗を確認してみてはいかがでしょうか。