株式市場に不透明感が高まる中で、いわゆるディフェンシブ銘柄(景気変動の影響を受けにくい株)である鉄道株が比較的堅調に推移しています。人口が減少する中でも業績が拡大している鉄道業界に今回は注目してみましょう。
2012年以降、輸送人員は増加傾向
鉄道事業の業績を左右する輸送人員は、バブル崩壊(90年代初頭)、リーマン・ショック(08年9 月)による景気低迷時には減少しました。しかし、2012年以降、輸送人員は増加傾向にあります。その背景としては、国内景気が回復する中で女性の社会進出などによって就業者数が増加したことや、訪日外国人の増加などが寄与していると考えられます。
派手さに欠けるも鉄道株の業績は堅調
輸送人員の増加に伴い、鉄道各社は安定的に収益を稼ぎやすくなっています。各社の業績を俯瞰すると、ビジネス、観光利用の増加による運輸関連事業の増収に加え、首都圏での再開発やマンション販売などの不動産事業、百貨店などの流通事業が収益に貢献するなど、非運輸関連事業が業績を押し上げていることがうかがえます。
鉄道各社は、相互乗り入れなどによる利便性の向上や、フリーパスの導入、設備の多言語化で訪日外国人のサポートを進めるなど、利用者の獲得に注力しており、今後も安定成長が続くと見込まれます。
業績堅調内需銘柄の一角として注目
鉄道を起点に収益を稼ぐ各社の事業構成には特徴がみられます。運輸関連事業の比率が大きいJR東海は、東海道新幹線の輸送力増強の取り組みも奏功し利用者が増加。一方、JR東日本は駅ナカ施設や駅ビル、ホテルなど流通企業としての顔も持っています。
また、京成電鉄は成田空港発着の旅客収入が増加し、同社が20%の株式を保有する「 オリエンタルランド 」の事業環境は好調です。一方、阪急阪神は梅田・沿線エリアに加え、首都圏における不動産開発を強化しており、東急は渋谷再開発など不動産事業が好調で、非鉄道事業も業績の牽引役となっています。
これからも好業績内需銘柄の1つとして、鉄道株に注目していきたいですね。
東武鉄道
東京急行電鉄
小田急電鉄
京王電鉄
京成電鉄
東日本旅客鉄道
西日本旅客鉄道
東海旅客鉄道
近鉄グループホールディングス
阪急阪神ホールディングス