マーケットの「温度感」がわかる連載「カエル先生のマーケットハイライト」。ゴールデンウィークを挟んで日経平均株価は7日続落となりました。その後も株価は一進一退の状況が続いています。どうして株価がずっと下がったの? 6月はどんなことに注目すればいいの? そんな疑問にカエル先生がお答えします!
5月の日経平均は、5日にトランプ米大統領が中国に対する関税を引き上げる意向を示して以降、大きく下落しました。収束したかのように見えた米中貿易摩擦が再び投資家心理を悪化させた模様です。この問題は先行きの見通しが難しい状況が続いていますが、まずは6月末に予定されているG20首脳会議に注目です。
5月は米中貿易摩擦再燃で株価下落
5月31日の日経平均株価(終値)は2万601円となり、前月末比1657円安でした。
ゴールデンウィーク終盤の5日、米国のトランプ大統領が、中国からの輸入品2000億ドルへの関税を10%から25%に引き上げる意向を示したことから、連休明けの日経平均は大きく下落しました。回復しかけていた中国の景気が再び悪化するのではないかという懸念が、株価の下落につながりました。
関税引き上げの範囲が拡大
トランプ大統領の意向通り、5月10日には輸入品2000億ドルに対する関税引き上げが実施されました。これを受けて、中国は報復措置として600億ドル規模の輸入品に対する関税の引き上げを発表し、6月1日に実施しました。
関税が引き上げられると、輸入業者などの事業者は上がった分の税金を企業内で負担したり、または輸入元に増額分を要求することで負担増をまかないます。これにより、輸入業者の利益減少や、さらには製品・サービスの値上げに繋がるケースがあります。すぐに安く輸入できる代替先が見つかればよいのですが、そうたやすく解決できるわけではありません。そのため、企業業績の悪化や消費の低迷につながり、景気を冷やしてしまう可能性があるのです。
5月末時点で、米国はさらなる関税の引き上げの実施(第4弾)も検討しているとのこと。衣類やiPhoneなど幅広い日用品にまで影響が広がれば、米国景気だけでなく、世界景気にも影響が及ぶかもしれません。
6月末のG20に注目!
再びマーケットの懸念材料となっている米中貿易摩擦ですが、一部では6月28日(金)~29日(土)に開催されるG20首脳会議で進展があるのではないかとも言われてます。今回のG20は大阪市で開かれ、日本をはじめ、米国、中国、ロシアなど主要20ヵ国の首脳が一堂に会します。その中で、米中首脳会談も開催される予定であることから、貿易問題について話し合われる可能性があります。
大幅な問題の解消は難しいかもしれませんが、少なくとも第4弾の関税措置の実施が一時的にでも延期されれば、投資家心理の改善や株価の上昇につながるかもしれませんね。