米国と中国の間では、いま通商問題が激化しています。米国が2000億ドル相当の中国からの輸入品に対する関税率を10%から25%へ引き上げたことを受け、中国は5月13日、米国に対し報復措置として600億ドル分の関税を引き上げることを表明。この後、米国はさらに3000億ドル分の輸入品に対して最大25%関税を引き上げる案の詳細を公表しました。
約10年半ぶりの安値
こうした状況を受け、世界の株式市場だけでなく、大豆、小麦、銅など、米中貿易に関連する商品の価格も下落しています。特に大豆の価格は大幅に落ち込んでいます。米国が輸出する大豆の過半は中国が輸入していて、両国の関係悪化の影響で大豆先物価格は約10年半ぶりの安値をつけています。
コスト低下で加工食品株に恩恵
米中の報復関税合戦により、日本の株式市場も大幅安の展開となっていますが、すべての国内企業が悪影響を受けるわけではなく、逆に直接的あるいは間接的に恩恵を受ける企業があります。大豆や穀物を主原材料として使用する食品メーカーにとっては、原料価格の下落はコスト低下の要因となります。大豆はしょうゆやマヨネーズなど、小麦はカレールーや麺などの原料として使われており、こうした加工品を手掛ける企業へ恩恵が及ぶものと考えられます。
世界景気減速の影響を受けにくい食品業界
食品メーカーはそもそもグローバル景気減速の影響を相対的に受けにくい「ディフェンシブ」株です。さらに、世界的な和食ブームにより、これからも安定的な成長が見込まれています。
しかし、足元のPERは日本株市場全体の下落に引きずられ、過去2年間での最低水準近辺にまで低下しつつある銘柄もみられます。日本株市場全体にとってのリスク要因は、さらに円高が進むことですが、円高が進む状況になるということは、市場ではディフェンシブ株が選ばれやすくなる環境になることを意味します。そうなれば、食品株の相対的優位性が高まるとも考えられますね。
不二製油
キッコーマン
キユーピー
ハウス食品G
東洋水産
日清食品HD