「会社四季報」のことを知りつくした渡部清二さんからその上手な活用法について教わる当連載も、これでついに最終回を迎えます。そこで、15回にわたる連載を振り返り、四季報を使った銘柄探しのテクニックを改めて確認していきましょう!
第15回「四季報で優待も! ROE(ライス・オン・エクイティ)でおトクにお米を手に入れよう」を読む
【第1~4回】初めての四季報、読み方のポイント
①継続性、②網羅性、③先見性という3つの強みを持つ「会社四季報」。世界的に見ても、自国市場の全上場企業を1冊で網羅している本は稀有で、「会社四季報」はオンリーワンの存在だと言えます。
ぶ厚さが強烈で、どこから見ればよいか悩んでしまうかもしれませんが、四季報のそれぞれのページの「A・B・E・J・N」欄だけ見れば、掲載されている企業のシルエットが見えてきます。名付けて「アベジャパン(A・B・E・J・N)。もちろん、渡部さんのように隅から隅まで脳内にインプットしてしまうのが最強の投資家への近道ですが、この5つの欄にざっと目を通すだけでも、投資の成果はガラリと変わるかもしれません。
「A」には会社の自己紹介が、「B」には会社四季報の取材記者によるコメントが書いてあります。つまり、AとBを見れば、その会社がどんな会社で、いまどういうことをやっているのかがわかるようになっています。
そして、「E」ではキャッシュフローなどを確認でき、財務の健全性を把握することができます。また、「J」は損益計算書で、個人における年収と出費の収支のようなものが書いてあります。これらを見ることで、経営が順調で繁盛している会社かどうかを判別することができるのです。
最後に「N」には株価チャートの推移と、バリュエーションが出ています。会社の”人となり”をA〜Jまでの項目で理解した上で、実際に市場ではどのように評価されてきたのかを株価チャートで確認することができます。
このように、「A・B・E・J・N」欄を見れば、業績が良いのに株価がまだ割安な銘柄を見つけ出すことができます。ぜひ1企業でよいのでこれらの欄をまずチェックしてみてください。
第1回「誰でも「会社四季報」を深読みできる方法とは?」
第2回「四季報はここを抑えれば大丈夫! A・B・E・J・N欄で見つける『勝ち筋銘柄』」
第3回「ぶ厚い四季報も2つの欄さえ見れば、株価上昇サインがつかめる!」
第4回「3つの欄を見れば、銘柄のポテンシャルがわかる!」
【第5~8回】四季報で見つけるテンバガー(10倍株)
過去5年間を振り返ってみると、全上場の3256社の中で128社の株価が10倍以上に達しています(第5回執筆時点)。テンバガーに出合える確率は、宝くじの高額賞金の当選率よりもはるかに高いと言えそうですね。しかも、テンバガーは私たちの普段の生活に身近な会社が多いのも特徴です。
最近では、減量ジム「ライザップ」を運営するRIZAPグループや、美容に関する総合サイト「@コスメ」を運営するアイスタイルなどが大きく株価を伸ばしていました。そして、ご存知ない方も多いと思いますが、あのトヨタもテンバガーとして急ピッチで株価上昇を遂げていた時期がありました。
こうしたテンバガー銘柄には4つの共通点があります。それは、①増収率が高い、②売上高営業利益率が10%以上、③オーナー企業、④上場から5年以内ーーというものです。要は、まだ上場してから年数が浅いオーナー企業で、業績が急ピッチで伸びているところがテンバガーになりやすいというわけです。下記の4ステップをたどるだけでこれら4つの共通点がチェックでき、テンバガー候補銘柄をあぶりだすことができます。
ステップ2 儲けの出やすさ=利益率をチェック
ステップ3 「創業社長によるワンマン経営」に注目
ステップ4 育ち盛りの会社であることを確認!
具体的には、過去4年間で売上高が2倍以上に伸び、売上高営業利益率が10%以上、創業者やその家族が大株主として経営、上場から5年以内、という条件を満たす銘柄が候補となります。連載の第7回ではこれら条件に当てはまる銘柄をピックアップしているので、ぜひ参考にしてみてください。
第5回「5年で128社も! 四季報で見つけるテンバガー(10倍株)」
第6回「四季報から見定めるテンバガー発掘4つの条件【急成長企業編】」
第7回「四季報から見定めるテンバガー発掘4つの条件【フレッシュ&オーナー企業編】」
第8回「テンバガーは、バリューで買って成長ストーリーで売れ」
【第9~12回】キーワードで読み解く四季報
「会社四季報」の記者たちは、自分が取材した企業のビジネスの状況について、いくつかの特徴的なキーワードを用いながらコンパクトに分析した情報をまとめています。どのキーワードを用いて表現しているのかによって、これから業績や株価に影響を与えそうなものが見えてくることがあります。
業績が良くなる直前の状態を表すキーワードとして注目したいのが「動意づく」と「雌伏(しふく)」です。いずれもこれから業績が上向きそうな気配を表している言葉です。もちろん「最高益」や「連続増収増益」などのキーワードも、快進撃が続きそうな様子を表しています。一方で「底打ち」や「繁忙」といった言葉には注意が必要です。一見、業績が良くなりそうにも見えますが、同時に勢いが鈍る可能性も秘めているためです。こうした言葉を見かけた場合は、少し様子見姿勢でいたほうがよいかもしれません。
第9回「株価急騰を予感させる、『会社四季報』のキーワードとは」
第10回「『ニューフェイスのキーワード』で、最旬テーマを探す!
第11回「業績転換を知らせる四季報のキーワードとは?」
第12回「株価上昇を先回り!? 業績の上方修正は四季報でつかめ!」
【第13~15回】2019年度注目のイベント ~改元と消費増税~
今年度前半の注目イベントは、なんといっても新時代の訪れを告げる「改元」でした。ただ、過去を振り返ると、改元の直後に”動乱”が起きていたケースがあります。最近では、昭和から平成に改元された1989年には、日経平均株価が3万8915円の史上最高値をつけ、やがてバブル崩壊へと突き進んでいきました。国際的にもイラクのクウェート侵攻に伴う湾岸戦争の勃発で、まさに”動乱”の年となりました。
「令和」の時代が始まったいまも、英国のEU離脱や米中貿易戦争など世界で様々な問題が起きています。いずれも日本企業の業績や株価に影響を与えうるものなので、注意深くウォッチしておいて損はないのではないでしょうか。
年度後半は「消費増税」が一番のビッグイベントです。これを機に消費を手控える動きが出てきそうですし、デフレ(物価の下落)に逆戻りしてしまう可能性も想定しておいたほうがよいでしょう。
そんなときに注目したいテーマが、「ニッチ」「シェアリング」「キャッシュレス」です。
リーマン・ショック以来、10年ぶりに価格を改定した接着剤最大手の「
コニシ
」のように、デフレが感じられる中でも逆に値上げに踏み切ることができる会社が注目されるかもしれません。また、海外と比べて割高な料金設定が当たり前という業界において、まったく新しい手法で価格破壊を起こすような会社、たとえばシェアリングにかじを切る「
ソフトバンクグループ
」などが挙げられます。さらに、政府がキャッシュレス決済の普及を目指していることから、プリペイドカードやポイントサービスなどのシステムを開発する「
バリューデザイン
」などにも注目が集まるかもしれませんね。
第13回「2019年度は『改元』関連と『70周年企業』に注目」
第14回「消費増税時はニッチ・シェアリング・キャッシュレス銘柄に注目!」
第15回「四季報で優待も! ROE(ライス・オン・エクイティ)でおトクにお米を手に入れよう」
四季報は「株式投資のバイブル」
これまで見てきたように、会社四季報を使えば、会社の歴史や業績がわかるだけでなく、テンバガーになりそうな銘柄や、株価上昇のタイミングなどをうかがい知ることができます。初心者からベテランまで幅広く活用できる、まさに「株式投資のバイブル」と言えます。
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