ROEで読み解くファーストリテイリング

水曜日はROEをトコトン!/ 日興フロッギー編集部ery

「ROEで読み解く日本電産」を読む
10連休を前に一旦利益確定売りが出やすくなっている株式市場。そんな時こそROEを通して新しい銘柄を選別し、5月以降の投資アイデアの参考にしてみましょう。ROEとは、「Return On Equity」の略称で、日本語では「自己資本利益率」または「株主資本利益率」と言います。ROEは1株あたり利益(EPS)を1株あたり自己資本で割ることで計算でき、5%、10%というようにパーセンテージで表されます。日本企業の場合、一般的に8%が資本効率の1つの目安であると言われ、それを上回ると資本効率が良いと判断されます。

ROE(%)=1株あたり利益(EPS)÷1株あたり自己資本×100
(ROE(%)=当期純利益÷自己資本×100)

近所のお店が「世界トップ」に!?

FROGGYでは、「自分の身近にある商品やサービスの会社への投資」をオススメしていますが、誰もが知る会社がこれから世界トップ企業になるかもしれないと考えると、ワクワクしませんか? 今回は、そんな誰もが一度は訪れたり身につけたりしているであろうアパレルメーカーの例をご紹介します。

case8:ファーストリテイリング

今回取り上げるのは、「ユニクロ」や「GU」でおなじみの「 ファーストリテイリング 」です。同社は、製品の企画・製造から流通・販売までを網羅するSPA(製造小売)と呼ばれる業態で、アパレルSPAとしてはZARA、H&Mに次いで世界3位の規模を誇っています。

海外売上が国内を逆転

同社のROEは、2019年8月期の予想ベース(QUICKコンセンサス予想)で18.1%と、非常に高い水準と言えます。これは高い利益率が背景にあることはもちろんですが、増資などで投資家から新規資金を集めることなく、積極的な海外進出を実現できていることも理由の1つと考えられます。事業で得たキャッシュを売上拡大が見込める新興国への出店などに充て、それがまた新たなキャッシュを生むという好循環ができているのです。

その豊富なキャッシュを生み出しているエンジンの1つが、中国など海外の売上です。国内の売上もまだ伸びてはいますが、伸び方がやや鈍化してきており、昨年度には国内の売上を海外の売上が逆転しました

新高値は「世界トップメーカーへの期待」の証

日経平均株価が昨年の高値をなかなか上抜くことができない中、ファーストリテイリングの株価は2019年4月17日終値時点で新高値を更新しています。もちろん、高いROEやそれを支える上記のような好調な業績も理由として挙げられますが、「SPAのアパレルメーカーで世界トップになるかもしれない」という投資家の期待が株価を押し上げていると考えられます。

同社のライバルは、SPA世界1位・2位のインディテックス(ZARA)とH&M。売上高ベースではトップまで差がありますが、新たにインドへの進出が検討されており、まだ海外売上の拡大余地は大きいと考えられます。また、昨年には物流システムの「 ダイフク 」と組み、商品倉庫の完全自動化にも成功したとのこと。24時間稼働や省人化などにより大幅な効率化を実現させました。もしこの事例を世界中の同社の倉庫でも応用できれば、さらなるコスト削減も可能と言え、世界トップの座も見えてくるのではないでしょうか。

<ROEの読み解き方3ヵ条>
①これからの業績を考える
②株主還元策を考える
③投資家の心理を考える

今回は、①③からファーストリテイリングを見てきました。私たちにとってはすでに身近なアパレルとして、確固たる存在感を見せる同社。しかし、株式市場では「世界トップのアパレルメーカー」への期待が高まりつつあることがうかがえます。「期待で買われ、事実で売られる」という相場の格言に従えば、まだ上がり続ける可能性があるとも言えそうですね。

単元株で買う場合は、なんと624万円(4月17日終値時点)ないと買えないファーストリテイリング。ただし、日興フロッギーなら100円から購入可能です。100万円以下の購入の場合は、手数料もゼロ。「身近な銘柄」として投資候補の1つに加えてみるのはいかがでしょうか。

本記事は、ROEを解説するものであり、素材として取り上げた企業への投資を推奨するものではありません。原則として原稿作成時点における情報に基づいて作成しております。また、記載された価格、数値等は、過去の実績値、概算値あるいは将来の予測値であり、実際とは異なる場合があります。投資に関する最終決定はお客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。