うっかり「やっちまっている」ムダを省けば、出費を抑えながらオイシイものを食べたり、趣味や旅行に回したり、将来に備えて投資したりがラクラク実現する! そんな夢をかなえるために結成された「お金のムダ省き隊」。隊員・S子とC江の2人が“お金のプロ”にコストカットの秘訣・裏ワザを聞きまくります。
そこで今回は、携帯料金を安くする方法をお聞きします。教えてくださるのは、ファイナンシャルプランナー・中村達矢さん。“手間をかけずトクすること”が大好物な隊員2号のC江と共に、いざ突撃!
3大固定費のひとつ、「通信費」を見直そう
S子
初めまして、「お金のムダ省き隊」です。節約で汲々とするのではなく、スマートに仕組みを作った結果としてムダな支出を減らしたり、お得をゲットして、その分は将来の投資に回したい……というチームであります。
中村
私は多くの方から節約に関するご相談を受けています。今日はどういったご相談でしょう?
S子
今、使っているスマホ(ソフトバンク回線)から乗り換えたいと考えています。というのも、もうすぐ契約期間が丸2年となるので。ちなみに、スマホ料金と家に引いているWi-Fiと合わせて毎月1万円超発生しています。夫と合わせると、通信費で月に約2万円と、まあまあ結構なコストです。最近よく耳にする格安SIMがお得だと聞きましたが、実際どうなんでしょうか。
中村
月々の通信費の問題ですね。家計費は大きく「変動費」「固定費」の2つに分かれます。変動費とは、支出する金額が毎月大きく変動する費用のことです。お小遣いや外食(食費)、趣味・娯楽代などが代表例です。
中村
一方、固定費とは、毎月・毎年など一定の期間で必ず決まった金額を支出する費用です。特に「住宅」「保険」「通信」は3大固定費と呼ばれています。皆さん、節約する際には変動費を何とかしようと思いがちです。もちろんそれを削ることも節約につながりますが、まずは3大固定費を見直す、減らすことから始めるべきですね。
C江
なるほど、自分や夫の小遣いを減らす前に、まずは固定費の見直しですね。
中村
はい。3大固定費を削った分を積み立て投資に回すというスキームは、ストレスなくできて、堅実に将来に備えられる方法ですよ。
S子
浮いたお金を投資に回して将来に備える! まさに一石二鳥な考え方ですね。
三大キャリアとMVNOの違いを理解する
中村
通信業界のプレイヤーを見てみると、主に2つに分類することができます。1つが、いわゆる「三大キャリア」と呼ばれる大手の通信事業者です。もう1つが、MVNO(Mobile Virtual Network Operator:仮想移動体通信事業者)です。
三大キャリアは、携帯電話の回線設備を自社で所有しています。これまでキャリア同士で競争が行われてきました。そのおかげで電波の改善や通信サービスだけではない、お得なサービスの提供も始まりました。
MVNOは、回線設備を自社で持たずに、他社のインフラを借りて音声通信やデータ通信のサービスを提供する事業者のことです。なのでサービスを格安に提供できるのです。2000年代の前半に登場して以来、今では数百のMVNOが存在しています。
S子
私が使っているソフトバンクは、三大キャリアの1社ですね。特に考えずに使ってきていますが、MVNOと比べると、割高ということになるんですね。。。
中村
日本は携帯電話の利用料金が世界一高いとも言われていて、政府が値下げを要請しているんですよ。とはいえ、三大キャリアは回線の基地局を立てたり、サービスを提供する店舗を多く持っており、かなりのコストがかかっている。というわけで、設備投資の費用を回収する必要があります。
一方、MVNOは初期投資を必要とせず、一部を除けば店舗もありません。基本的に料金が安くなるという仕組みなんですね。MVNOでは、格安の料金で利用できる通信サービス「格安SIM」を提供しています。格安SIMとスマートフォンを組み合わせると「格安スマホ」ができます。
格安スマホで月々の利用料金が7割減も
C江
三大キャリアから格安スマホに移行するのは大変なんですか。
中村
三大キャリアでは、基本的に契約者自身が解約などの手続きをしないと自動的に更新されます。また、契約を解除できる期間(更新月)が決まっていて、それ以外の期間では携帯電話の契約を解約する際に「解約料」を払う必要があります。プランによっても異なりますが、その手数料は基本的に9500円(税別)となっています。
S子
いわゆる「2年縛り」ですね。どれくらい料金が違ってくるのですか。
中村
私自身、2年前に格安スマホに乗り換えました。以前は、夫婦2人で月々2万円でしたが、格安スマホでは2人合わせても6000円で済んでいます。お手伝いしたお客様の多くが、3000円くらいで収まっているようです。もちろん、端末代なども考慮する必要はありますが。
S子
えーーー! そんなに違うんですか。ショック。今すぐ換えたい。
中村
ただ、格安スマホにはデメリットや注意事項もあるんです。まず三大キャリアからの乗り換えでは、解約金が発生することです。また、キャリアメールが使えなくなります。買い替えの手続きをほぼ自分でやるという手間もかかります。逆に言えば、それくらいしかデメリットはありませんね。
C江
通話品質は大丈夫ですか? 聞き取りづらくなったりしないでしょうか。
中村
実際使っていて、不便に思ったことはありません。買い換えたお客様からも通信品質についての不満をお聞きしたことはなく、格安スマホに変えて失敗したというお声は、ほとんど聞いたことがありません。
C江
手続きが手間なんですか。やっぱり三大キャリアから乗り換えるのは、抵抗があるんですよね。
中村
三大キャリアというブランドが好きな人も多いですね。MVNOの中には、三大キャリアの子会社もあります。系列の三大キャリアから乗り換えた場合、毎月一定の割引をしているMVNOもありますよ。
格安スマホに向いている人、向いていない人
S子
格安スマホに向いている人、向いていない人はいるのでしょうか。
中村
どれくらい通話をするかによると思います。仕事でバンバン電話する場合だと、プランによっては節約効果が期待できないこともあります。ただ、今はLINEやMessengerでも通話ができる時代です。お客様に実際の使い方を聞くと、電話を使うのは美容室や飲食店の予約をする時ぐらいで、ほとんど通話はしないという答えが多く返ってきます。また、新機種が出てくるたびに購入する人はあまり節約効果が期待できるとは言えませんね。
S子
確かに、仕事のやり取りってほとんどオンライン上で成立していて、電話といえば家族間の「カエル(帰る)コール」ぐらいかも。
中村
その他、格安SIMで心配になる点はありますか?
C江
私は、家族全員がNTTドコモでファミリー割プランを利用しています。ガラケー(フィーチャーフォン)を持つ両親とのやり取りは、通話のみで行っています。というわけで我が家としては、通話できることがメリットなんです。でも、データプランはもう少し安くしてもいいかなと。あと、キャリアメールが使えるのも手放せない理由の1つですね。
中村
仕事でも使いたい場合などは、通話専用の端末を持つ「2台持ち」もいいかもしれません。スマホとガラケーをそれぞれ2000円程度で利用している人もいます。
C江
そんなに安いんですか! ちなみに我が家は携帯と固定電話、そして光回線などを含めるプランで、だいたい月々2万円になっています。プランから外れると今までのメリットが失われるのでは? と思うとなかなか二の足を踏んでしまって。
中村
格安スマホにしなくても、月々の料金プランを見直すことは大事です。気になっているのでしたら店舗に行って相談してみてはいかがでしょうか。相談することで節約できる部分は見つかるはずです。
S子
先生! 通信費の見直しはどれくらいの期間でやったほうがいいのでしょうか。
中村
「2年縛り」もありますし、各社新しいプランを常に出しているので、2年に1回は見直すことをオススメします。その時には、直営店ではなく、複数のサービスを比較しやすい大手の家電量販店をハシゴして、検討するといいですよ。自分のスマホの使い方、必要なプラン(通話時間や通信量、コスト)を明確にして、現状のプランと照らし合わせてみてください。
通信費などの固定費は累計で判断するべきです。そこに節約のヒントがあります。
削れるコストを見つけることを私たちは「埋蔵金を発掘する」ことに例えています。埋蔵金が見つかったら、その分は投資に無理なくスライドできる気がしませんか? さあ、埋蔵金を発掘して、20年後、さらにその先の資産をつくっていきましょう。
S子・C江:はーい! ありがとうございました。
・家計は「固定費」「変動費」に分けられる
・節約するなら、まずは3大固定費である「住宅」「保険」「通信」を見直せ!
・三大キャリアの通信費は、世界で一番高いと言われている
・MVNOが提供する格安SIM+スマホ=格安スマホ
・格安スマホにすると、大手キャリアの半額以下にコスト削減することも夢じゃない
・大手キャリアからMVNOへの乗り換えが不安なら、月々の料金プランを見直そう
・2年に一度はプランの見直しを!
後日談・「隊員たちのやってみた!」
S子:取材をしたその足で、家電量販店へ。結局ソフトバンクの回線を使うワイモバイルへ乗り換え。通話無料時間が5分→10分と倍に。さらに、Wi-Fi利用量が5GB→9GBと増えたので安心感UP。ちなみに、家(兼事務所)で使う据え置き型のWi-Fiソフトバンクエアー(月5000円)はキープしました。iPhone7の下取り(機種はiPhone7→iPhoneSE(128GB)でダウングレード)や、ソフトバンクエアー利用による割引のおかげで、月額使用料が7000円→3000円に(機種代込)! 本当に安くなって感激。
と、はしゃいでしまったけれど、乗り換え月まで待つべきでしたネ。解約料や機種の残債、新規の事務手数料などが発生して、後日請求書を見て冷や汗が。。。2年に1度の、乗り換え時期を見落とさないよう、ちゃんとカレンダーに書いておくべし! ですね。
肝心な「使ってみての感想」ですが、不便を感じたことはありません!(先日の通信障害には泣かされましたが……この件から、「SIMロックを解除してサブのSIMカードも用立てておいたほうがいい?」と考えるようになりました)
何はともあれ、格安SIMに変えただけで、毎月4000円、1年で約5万円も浮くなんて、ホントやらなきゃ損です!
C江:キャリアを変えるのは面倒だし……ということで、私はドコモで料金プランの見直しをしてきました。
なんと、通話プランの見直しで月1700円安くなりました!
さらにっ、端末の縛りがあるものの、ずっと割引が入るプランがあると知り、変更。
夫婦二人で月12000円の料金が、8000円に!!
あと、キッズケータイ替わりに古い携帯に格安SIMを入れて娘に使わせていたのですが、春からは中学生。iPhoneが欲しいというので、困っていたのですが、ドコモの料金割引の対象機種にiPhone6sがあると店員さん! 通話込みの格安SIMだとMNP対応で「のりかえ」対象。その時の家電量販店のキャンペーンのおかげで端末代一括0円で手に入れちゃいました。ちなみに、こちらも家族でパケットを分けあえるシェアプランに入れて、通信料はなんと驚きの302円!!
どうやら、キャリアの料金プランも年々変更しているようなので、要チェックですね。
格安SIMほどではないですが、安心のキャリアでも安くなるプランがあるので、まずは相談に行ってみるのも手! 格安SIMには最低利用期間を過ぎれば、いつ解約しても解約金がかからないプランがあり、いったん格安SIMに乗り換えても、1年後にキャリアに「のりかえ」で戻ることも可能。その場合、「のりかえ」キャンペーンが使えるので、思い切って一度、格安SIMを使ってみるのもアリかもしれません。