いつの時代も、「美しくありたい」と願う女性の気持ちは変わらないもの。その願いに寄りそう企業と聞けば、つい応援したくなります。明治時代に高級化粧水をヒットさせた資生堂や、家庭用の美容家電で躍進中のヤーマンなど、「美に貢献する銘柄」を集めました。
美しくなりたい女性の心をつかんで100年以上 【資生堂】
国内の化粧品最大手である「
資生堂
」の名前は、テレビCMなどでみなさんご存知でしょう。創業は古く、明治時代。1872年に福原有信が東京・銀座に日本初の洋風調剤薬局をオープンしたのが始まりです。
1897年、初めての化粧品となる高級化粧水「オイデルミン」を発売。科学に裏打ちされた処方と美しいガラス瓶のデザインは、“資生堂の赤い水”と話題になり、女性たちを夢中にさせました。この化粧水は改良を重ね、100年以上経った今も売られる超ロングセラー商品となっています。
世の中の先端をいく技術とデザインで、女性の「美しくありたい」願いに寄りそう資生堂。そのビジネスは今、海外に開かれています。グループ全体では120カ国・地域で事業を展開し、海外売上比率は50%を超えるまでに成長。最近では、世界のネットワークを活用するため、スキンケアは日本、メーキャップやデジタルは米国、フレグランスはフランスというように、カテゴリーごとに強みを持つエリアでマーケティングを行う拠点を設立しました。
明治時代、日本人女性に近代的な美をもたらした老舗ブランドが、海外に広まり、さまざまな国籍の女性たちの美に貢献していく。なんだか素敵な話ですね。
飽くなき美の追求! 美容家電のリーディングカンパニー 【ヤーマン】
国内で急成長している美容家電市場。1978年、いち早く美容家電に目を付けて研究開発・製造・販売を開始し、市場をけん引してきたリーディングカンパニーが「
ヤーマン
」です。
創業時からエステやフィットネス向けの製品開発に取り組み、ローラー美顔器や最新脱毛器など、数々の美容家電を世に送り出してきたヤーマン。中でも、1985年に特許を取得した「体内脂肪重量計」は、「足から体脂肪を測定する」という巨大な市場を創出しました。
1998年、ヤーマンはプロ向けに培った技術をさらに普及させようと、家庭用美容器の開発を始めました。それから15年以上経ち、「家庭でプチエステ」という発想はすっかり人々に浸透。近年は訪日外国人のお土産としても、美容家電が人気です。2016年8月にはアートネーチャーと業務提携を行い、ヘッドスパ美容器の販売を開始すると発表。今後も、ヤーマンの飽くなき美の追求から目を離せません。
2016年4月期は増収増益で、営業利益は10億2800万円 、前年度比58.8%増と足下の業績は好調です。1株当たりの年間配当は36円で、株主優待は所有株式数に応じて1万円相当、3万円相当の自社商品がもらえるとあり、株主に対しても、“美に貢献”してくれるかもしれません。
目薬だけじゃない! 躍進するスキンケア事業に注目 【ロート製薬】
「 ロート製薬 」といえば、鳩が飛び交う目薬の宣伝を思い浮かべる人は多いでしょう。実際、目薬などアイケア製品で世界トップを誇る会社ですが、実は2016年3月期の売上高を見ると、スキンケア事業が約1133億円と全体の約68%を占めています。これは高機能化粧品「オバジ」や、保水力の高い成分・ヒアルロン酸をふんだんに配合しつつ低価格を実現し、化粧水の売上個数トップを誇る「肌研(ハダラボ)」ブランドなど、スキンケア事業で高い成長を続けていることが背景にあります。
明治時代に創業し、「ロート目薬」と胃薬「パンシロン」を二大柱として成長した同社は、その裏でさまざまなチャレンジをしてきた企業でもあります。例えば、ドラッグストアで簡単に手に入る妊娠検査薬は、もともとは一般向けに売っていませんでした。母体保護の観点からロート製薬が商品化し、薬局での販売の意義を粘り強く訴え、1985年に実現したのです。
近年は化粧品事業から、レストラン事業や農業を中心とした「食」事業にも領域を広げ、「統合ヘルス&ビューティーケア企業」としてまい進中。2016年3月期は増収増益、当期純利益は90億円を超えて過去最高を更新し、業績も好調です。副業を認める制度が話題になるなど、自由闊達な社風のロート製薬は、これからも人々に美と元気を与えてくれることでしょう。
「美とIT」のクールな組み合わせで世界一を目指す 【アイスタイル】
「
アイスタイル
」という社名を知らない人でも、同社が運営するウェブサイト「@cosme」と聞けばピンとくるでしょう。
1999年に開設された化粧品・美容の総合サイトで、今では月間利用者数1400万人、20~30代の女性の3分の2が毎月利用するという驚くべきリーチ力を達成しています。「@cosme」ができて以来、女性の間では、ネットの口コミを見て化粧品を買うのが常識になりました。「@cosme」はウェブだけでなくリアルの店舗も多数展開し、口コミで話題の商品を置いて人気となっています。
「@cosme」という強力なプラットフォームを武器に、アイスタイルは進化を続けています。1つは海外事業。ネットとリアルを組み合わせるビジネスモデルを東南アジアに輸出する目標を描き、第一弾として昨年10月にフィリピンで化粧品卸事業を始めました。
さらに、化粧品の枠にとらわれず、美容サロンやヨガ教室など、美に関するあらゆる場所・人がITでつながるプラットフォームを構築しようとしています。
アイスタイルが掲げる目標は、「Beauty×ITで世界一」。日本発のビジネスモデルが、アジアから世界に広がることを想像すると、わくわくします。
胸を張って美しく生きる女性を増やす【ワコール】
女性を美しくするのは化粧品だけではありません。1946年の創業以来、「女性に美しくなってもらうこと」を事業目的とする「
ワコール
」は、下着の開発・製造を通して、世の女性たちが体型を維持することに貢献してきました。
ホームページの経営理念には、「『女性と共にある』ことは、今やワコールの存在価値そのもの」とあり、想いの強さが伝わってきます。
ワコールのビジネスは、徹底した研究開発に裏打ちされています。1964年に「ワコール人間科学研究所」を設立し、自分たちの手で基礎研究を開始。50年以上にわたり、子どもからお年寄りまで毎年約1000人の人体を測定し、身体のフォルムや内部組織から感覚・生理・心理などの研究を行っています。これまで収集したデータは、のべ4万人以上。そこから、歩くだけでシェイプアップできる「ヒップウォーカー」、就寝時用のブラジャー「ナイトアップブラ」など、数々のヒット商品が生まれています。
海外展開も早く、1970年にアジア地域、1977年にはアメリカに進出。現在、約70カ国以上でワコールの製品が売られています。たゆまぬ研究開発と強い想いで、ワコールは世界中の女性が胸を張って、美しく生きるお手伝いをしているのです。
いかがでしたか? 美容市場は新興国が豊かになるとさらに伸びるでしょうし、最近は国内で男性のスキンケアへの関心が高まっていますから、まだまだ成長の余地があるといえるでしょう。美しくあることは、外見だけに限らず、精神的な豊かさをもたらしてくれます。美に貢献する企業は、素敵な人生を応援する企業でもある。そういう視点で、注目してみてはどうでしょうか。
今回のテーマで取り上げた上場企業
資生堂
ヤーマン
ロート製薬
アイスタイル
ワコールホールディングス