マーケットや事業を取り巻く状況から、いま狙い目の銘柄をピックアップする「日興ストラテジー・セレクション」。10月は米国金利の上昇や、中国の景気先行き不安などから、相場は大きく乱高下しました。11月号の新採用銘柄はありませんが、すでに採用されている銘柄の中には、こうした下落相場でも強さを見せた銘柄があります。今回は、そんな「ディフェンシブ銘柄」をいくつかご紹介します。
下落相場に耐える銘柄
10月の日経平均騰落率が-12.2%と大幅下落のなか、比較的下落が少なかったのは、「 共立メンテナンス 」「 住友不動産 」「 三和ホールディングス 」です。
インバウンド需要で手堅く推移「共立メンテナンス」
10月の株価騰落率ナンバー1は「 共立メンテナンス 」で騰落率は-2.1%でした。9月の北海道地震によるホテルの営業停止による影響は注視する必要がありますが、8月までの台風や大阪地震などの影響は軽微だった模様です。
また、8月のホテル事業は、ビジネスホテルの「ドーミーイン」が新規オープンや既存棟の伸びで前期比19%増収。リゾートホテルブランド「ラビスタ」も既存棟や前期のオープンが貢献し、7%の増収となりました。こうした足元の好調さが、株価の底堅さに繋がっていると考えられます。
賃貸不動産は都心が95%「住友不動産」
ランキング2位は「 住友不動産 」で-3.4%です。総合不動産大手の同社は、賃貸不動産の95%が都心のオフィスや商業施設となっており、今回の相場下落の主因となった中国景気とは、直接的な関係がありません。そのため、株価の下落は軽微だったと考えられます。
足元では、9月の東京都心5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷区)の平均賃料が、前年同月比7.6%アップと、57 ヵ月連続で上昇。オフィスビル空室率は2.33%で最低値を更新しており、オフィス賃貸事業の好調さが株価を下支えしているものとみられます。
根強いシャッター需要が株価下落をブロック!? 「三和ホールディングス」
「 三和ホールディングス 」の株価騰落率は-6.9%でした。シャッター世界トップクラスの同社は大型再開発物件の施工や、防火設備の定期検査報告制度で需要増加の追い風を受け、順調に売上げを拡大させています。
同社の場合、こうした景気に左右されない、制度変更によるニーズが業績を下支えしています。また、セグメントが日本・北米・欧州の3地域に集中しており、中国景気とは関連が薄かったことで、軽微な株価下落にとどまった模様です。
株価下落時はディフェンシブ銘柄に注目!
日経平均騰落率を上回るこれらの3銘柄は、日興ストラテジー・セレクションの中では、相対的に「ディフェンシブ銘柄」と言えます。ディフェンシブ=防御的という意味のとおり、景気動向に左右されにくいのが特徴です。
一般的には、生活必需品である食品や医薬品、電気・ガスなどが含まれますが、上記銘柄も今回の株価下落の背景である中国景気とは直接的な影響が小さいことがわかります。こうしたことから、株価の下落が相対的に小さかったと考えられます。
株価下落時には守りに強いディフェンシブ銘柄に注目してみましょう。
「 SMC 」は、2018年の駆け込み需要の反動で、メモリーを中心に2019年の半導体設備投資が大幅に抑制される懸念があるためです。「 フジシールインターナショナル 」は、改善途中にある欧州部門の赤字回復速度の鈍さと、原油高によるプラスティック原料のコスト負担増を懸念したためです。