「PERで読み解く日立製作所」を読む
初心者からベテランまで、多くの投資家が参考にする投資指標「PER」。PERは株価を1株あたり利益(EPS)で割ることで計算でき、一般的には10倍、15倍というように倍率で表され、倍率が高くなれば割高、低くなれば割安と判断します。
(もしくは、時価総額÷当期純利益)
それって本当に「関連株」?
10月に入ってからの日本株マーケットでは、中国景気の先行き不透明感などから、中国関連企業の株価がより大きく下落することがあります。たとえば、日経平均が直近高値を付けた10月2日以降の株価を見ると、日経平均が9%の下落なのに対して、資生堂は20%、ファナックは15%、コマツは13%も株価が下落しています(2018年10月23日終値ベース)。
しかし、地域別の売上高をよく見ると、そこまで中国比率が高くないにも関わらず、大きく売られ、PERが低下している企業もあります。今回はそんなケースをご紹介します。
case13:コマツ
今回取り上げるのは、道路工事や鉱山掘削の際に使われる建設機械を手掛ける「 コマツ 」です。同社は国内首位の建機メーカーで、世界でも米国キャタピラー社に次ぐ2位につけています。また、2017年には、米国の建機メーカー、ジョイ・グローバル社を買収するなど、グローバルトップを目指すべく、積極的なM&Aを展開しています。
中国は全体の7%
先述したように、10月に入ってからのコマツの株価は、中国関連株として大きく売られています。ところが、実際の地域別売上高を見ると、中国における売上高は全体の7%にすぎません。もちろん、ここ数年で非常に伸びている地域ですので、これからさらに売上シェアを伸ばしていくことが想定されますが、現状ではさほど業績に対するインパクトは大きいとは言えません。中国での売上が多少落ち込んだとしても、業績が大幅に下方修正となるようなことは避けられるのではないでしょうか。
PERは過去の下限付近まですでに低下
また、PERの過去の推移をみますと、今年に入ってからの株価下落で、すでにPERは2010年以降の平均を大きく下回る水準となっています。しばらくは、中国関連株、世界景気敏感株として上値は重いと考えられますが、さほど業績に影響のないことが確認できれば、株価は反発するのではないでしょうか。
①これからの業績を考える
②会社の人気度を考える
③投資家の心理を考える
今回は、①と③からコマツのPERをみてきました。○○関連株といわれている企業でも、実はそこまで関連していないというケースが散見されます。誰かがラベリングした情報をうのみにするのではなく、自身で最新の業績を確認する習慣を身につけましょう。そして「うっかり下落しすぎている」銘柄を見つけて投資を検討してみてはいかがでしょうか。