投資で1億円以上の金融資産を築き上げることに成功した、通称「億り人」。投資家なら誰でも夢見る“億万長者”に、投資手法や持っている銘柄などを直撃取材! “億り人”願望満々のカエルくんが、根掘り葉掘りうかがいます。
200万円→10億円→5億円とジェットコースターのような資産推移。
「安定志向」へシフトして奇跡の復活!
こんにちは。「いつか億り人に!」を目標にしています。ぜひご指導をよろしくお願いいたします。さて、初めてFROGGYにご登場いただいたのは2017年の1月でしたが、その後、総資産はどのようになっていますか?
当時の資産は約6億円とお話したと思いますが、現在も6億円から+10%程度を維持しています。
すごいですね……! たしか2000年5月、会社員時代に元手200万円で投資をスタートされたんですよね。
はい。紆余曲折しながらも、資産を1.5億円まで増やし、04年にはサラリーマンを退職。翌年には資産10億円になりました。しかし、その後、ライブドアショックで資産が半減し、一時、株から遠ざかった時期もありました。
そこから見事リカバーされ、資産を着々と増やされた。その極意をぜひおうかがいしたいです!
当初、200万円から10億円まで資産を“大膨張”させた投資手法は1つのセクターを狙い、厳選したメイン銘柄に信用取引でレバレッジをかけるやり方でした。
かなり攻めたスタイル! 今はスタイルを変えられたんですよね。
はい。資産が半分になってしまった経験から、投資手法を見直して「資産を守りながらも着実に増やす」という投資スタイルをとっています。
「資産を守りつつ、着実に増やす」!? そんな手法があるのですか?
【ポイント1】”MYインデックス”を作るイメージで、
100銘柄超へ超分散投資
では、まずは今持っている日本株のリストをお見せしますね。
(お手製の「日本株保有銘柄リスト」を提示)。
貴重な資料を、ありがとうございます……ええっ! 120銘柄も! なぜこんなに分散投資しているんですか????
カエルくん、落ち着いて(笑)。
手堅い投資手法の1つとして、日経平均などの指数に連動する投信やETFに投資する「インデックス投資」があります。こうした指数に含まれている銘柄の中から、さらに自分で銘柄を厳選して、適宜入れ替える。そうすれば「リスク分散しながらも市場平均を上回るパフォーマンスを狙えるのでは?」というのが私の考えです。
なるほど。オリジナルのMYインデックスを作るといった感じですか!
銘柄選びは、割安成長株への投資を基本スタンスにしていて、保有銘柄は大きく4つのタイプに分けられます。
2 資産バリュー(低PBR)株:PBR1倍以下、時価総額が会社の純資産金額以下が基準
3 収益バリュー(低PER)株:予想PER10倍以下
4 株主優待株
ポートフォリオを占める割合は、1の成長株が主力となっています。
初心者ならば、わかりやすい2の資産バリュー株からスタートして、慣れてきたら収益バリュー株や成長株にチャレンジするのをお勧めしています。
では、初心者にもわかりやすいところから解説をお願いします!
【ポイント2】初心者はまずは資産バリュー株からスタート!
割安株を見極められるようになったら、収益バリュー株にトライ
そもそもなぜ初心者には、「収益バリュー株」ではなく、「資産バリュー株」がお勧めなんですか?
バリュー投資:「資産バリュー投資」と「収益バリュー投資」の2つ
PBR=株価÷1株当たりの純資産
←これをもとに割安か判断した株が資産バリュー株
PER=株価÷1株当たりの純利益
←これをもとに割安か判断した株が収益バリュー株
理由は、収益(利益)よりも資産のほうが変化が緩やかだからです。
利益は景気次第で簡単に上下し、突然赤字になることもある。しかし、資産は極端な乱高下が起きにくい。よって、株価も安定しやすいんです。私はPBR1倍以下を基準としています。スクリーニングで条件を設定すれば、即チェックできますので試してみてください。
なるほど! とっつきやすそうです。
ただ、PBRをつかったスクリーニングは便利ですが、頼りすぎるのはよくありません。なぜなら、PBRはあくまでも過去の実績から導き出されているものだからです。
真の割安成長株を見つけるには、アナログですが、ビジネスモデルを地道に分析する作業が必要です。そのトレーニングのためにも、変化が少ない資産バリュー(低PBR)株から始めるのが王道なんです。
資産バリューの割安感を自分で判断できるようになったら、収益性や成長性を考えていく、という風にステップアップしていくのがよいと思います。
そうそう、資産バリューといえば、かぶ1000さんが有名ですよね。かぶ1000さんが持っている銘柄を見て、なぜ持っているのかな? というのを自分なりに考えてみるのも勉強になると思いますよ。
DAIBOUCHOUさんの選ぶ銘柄【資産バリュー株】
チョコレートに欠かせない! 乳化剤のパイオニア「太陽化学」
では、DAIBOUCHOUさんが考える有望な資産バリュー株で、今保有している銘柄を教えてください。
一つが「
太陽化学
」、PBRは0.78倍です。
乳化剤や安定剤などの食品素材、化粧品・トイレタリー向け素材など機能性剤のメーカーです。乳化剤はチョコレートやアイスクリームなどの口当たりを良くすために欠かせない素材ですが、実は乳化剤を日本で初めて開発したのが同社。
名古屋証券取引所の第二部に単独上場ということもあって知名度はイマイチですが、全国の食品メーカーと取引があるのが強み。近年では海外市場にも力を入れていますよ。
チョコもアイスも大好きな私……知らぬ間にお世話になっていたんですね。
事業によって利益のバラツキはありますが、3期連続で増益するなど業績は順調です。あと、扱っているのが生活必需品であるため、景気に左右されにくいのもメリットです。
DAIBOUCHOUさんの選ぶ銘柄【資産バリュー株】
“読ませる”ダイレクトメールを企画立案「ディーエムエス」
もう1社は「
ディーエムエス
」。PBRは0.78倍です。
会社名通り、企業のDM(ダイレクトメール)送付のサポートをしている会社で、DM内容の企画から送付先の選出、デリバリーも一手に手掛けています。
ネットの時代に苦戦していそうなイメージがありますが……?
実は逆で、メルマガなどが受信箱に埋もれて読まれないことが多いのに対し、DMはメールよりも開封率、訴求力も高いと言われています。
同社では、EC市場の拡大を受けて、需要も増大するなか、通販会社向けに出荷や梱包、発送まで手掛けるビジネスを展開しています。19年3月期の第1四半期には通期予想の売上、利益ともに上方修正を発表しました。
今後もネット通販の需要は安定的に伸びていくでしょうし、収益から見てもPER10倍台と収益バリュー株としても注目です。
またもや知られざる有望企業。そしてDM市場が伸びているとは意外でした。
一見地味に思える資産バリュー株ですが、丹念に探せば有望な銘柄は多く存在します。資産を大きく減らさず“守る”点からも、私も一定の割合でポートフォリオに組み入れています。
DAIBOUCHOUさんの選ぶ銘柄【収益バリュー株】
自動車販売&リサイクルで、客のニーズをつかむ「ICDAホールディングス」
資産バリュー株の見極め方を学んだところで、次は低PERの収益バリュー株ですね。PERの目安はいかほどですか?
予想PER10倍以下が照準となりますが、ここでももちろん、PERの数値だけでなく、ビジネスモデルを見極めることが大事です。
持っている銘柄の一つが「
ICDAホールディングス
」、予想PERは6.8倍です。
本田技研工業の新車ディーラーを軸に、新車・中古車両方の販売を行なっており、さらに中古車の買い取りからアフターサービス、リサイクルなどの流通経路を網羅していることが特徴です。
新車と中古を同時に比較検討できるのは便利ですね。
直近では大雨などの自然災害により自家用車の被害を受け、より納期が短い中古車のニーズが伸びています。18年3月期は増収増益で、今期第1四半期の業績も順調に伸びていますよ。
知名度が低いので、株価はまだ反応が鈍いですが、逆に言えばネガティブな情報があっても大きく下げるリスクが小さいのもポイントです。
DAIBOUCHOUさんの選ぶ銘柄【収益バリュー株】
生活必需品を扱うため景気の影響を受けにくい! 食品スーパー「エコス」
もう1社、ご紹介すると食品スーパーチェーンの「
エコス
」。PER8.2倍です。
東京エリアでは多摩を中心に、関東全域で「エコス」「マスダ」「たいらや」という3チェーンを展開しています。
多摩エリアですか! 都心部ではあまり見かけない印象です。
全国区では知名度は低いですが、生活必需品の食品を扱うディフェンシブ銘柄なので業績は固い。18年2月期も増益で、19年第1四半期も順調です。また、現在の2代目社長は米国の大学院でMBAを取得したという経歴の持ち主。何か新しい基軸を打ち出してくれるのではという期待もあって保有しています。
【ポイント3】優待株であっても「優待メイン」では選ばない!
PBR、PER、業績は必ずチェック
優待株についてはいかがですか?
優待株は、優待目当てで保有している人が多いため、株主優待が続く限りは持ち続けるという人が少なくない。つまり、売る人が少ない=底値が固いのがメリットです。
私の場合は、資産バリュー株、収益バリュー株を探すなかで、使いやすい割引券やQUOカードなど、欲しいと思う優待であれば買う、というスタンスです。
DAIBOUCHOUさんの選ぶ銘柄【優待株】
5年ぶりの優待復活! 割安銘柄としても注目する「やまや」
株主を増やすために、優待制度を新設するケースも増えています。
例えば、PER10倍以下で収益バリュー株の視点からも保有しているのが「
やまや
」。酒類を中心とする小売チェーンですが、廃止していた株主優待を再開しました。
優待株はお試し買いにもいいと思います。
PBR、PERの基準に合致して、業績も伸びていて、例えば100株でQUOカード1000円がもらえるとなれば試しに100株買ってみる。
さらに業績や株価が上がったら、追加で買い増していくのもいいと思います。
優待でおトク感を味わえるという点では、初心者でも楽しめそうですね!
次回は、主力とされている「成長株」について教えてください。
<DAIBOUCHOUさん式 「資産を守りつつ、着実に増やす」投資法>
①MYインデックスをつくるイメージで100銘柄超に分散投資
②「成長株」「資産バリュー(低PBR)株」「収益バリュー(低PER)株」「株主優待株」の4タイプを保有
③初心者は資産バリュー株からスタートしよう
④PBR、PERだけでなく、ビジネスモデルもチェック
⑤優待株は底値が固い。PBR、PERの基準に合致した銘柄を優待株としてお試し買いするのもあり
今回のテーマで取り上げた上場企業
太陽化学
ディーエムエス
ICDAホールディングス
エコス
やまや