第6回 四季報から見定めるテンバガー発掘4つの条件【急成長企業編】

四季報ひとすじ20年! 達人が教える活用のススメ/ 渡部 清二日興フロッギー編集部

前回から始まった、「会社四季報」を使った銘柄探しの実践編。「会社四季報」の達人こと渡部清二さんから、テンバガー(株価が10倍以上になる銘柄)をいち早く探し出す方法を教えてもらいます。渡部さんによれば、「過去のテンバガーには4つの共通点があった」とか。そこで、今回はその4つの共通点のうちの2つについてクローズアップしてご紹介します!
第5回「5年で128社も! 四季報で見つけるテンバガー(10倍株)」を読む

株価10倍高銘柄に共通する4つのポイント

−−株価が10倍になった銘柄の4つの共通点とは、いったいどういったものなのでしょうか? さっそく教えてください!

4つの共通点とは、①増収率が高い、②売上高営業利益率が10%以上、③オーナー企業、④上場から5年以内ーーというものです。要は、まだ上場してから年数が浅いオーナー企業で、業績が急ピッチで伸びているところがテンバガーになりやすいわけです。

順を追って説明していきましょう。まず、「会社四季報」2018年新春号巻頭の特集記事には、とても気になることが書かれていました。過去10年間(2007年10月31日〜2017年11月27日)で時価総額が大きく増えた会社をランキングしたデータが掲載されていたのです。

−−その時価総額とは、いったい何を意味しているのでしょうか?

「株価×発行済み株式数」のことで、増資(新たな株式の発行)を行っていなければ、時価総額は株価の上昇に伴って増えていくことになります。つまり、このランキングの上位組はテンバガーとなっていた可能性が非常に高いのです。現に、ランキングトップだったの「RIZAPグループ」の株価を確かめてみると、2009年4月の安値から2017年11月の高値まで1261倍の上昇を遂げていました。

そして、このRIZAPグループをはじめとするランキング上位銘柄について分析してみたところ、株価が10倍以上になった銘柄の多くには4つの共通点がありました。それが、先ほどお伝えした①増収率が高い、②売上高営業利益率が10%以上、③オーナー企業、④上場から5年以内ーーというものです。

ステップ1 過去4年間の売上高をチェック

−−「増収率が高い」という共通点について、もう少し詳しく教えてください。それに、売上高営業利益率とは、いったい何を意味しているのでしょうか?

増収(収入が増えている)とは、その会社の売上高が伸びていることです。取り扱っているモノやサービスが売れれば売れるほど、利益も増えていく可能性が高まっていくので、「増収率が高い=売上が急ピッチで増えている→その会社の成長性は高い」と判断できます。

−−では、増収率は「会社四季報」のどの欄をチェックすればいいのでしょうか?

Jブロックに売上高の推移が出ているので、その大まかな変化に注目してみるといいでしょう。過去4年間で売上高が2倍以上に伸びていれば、テンバガー候補の1次選考をクリアしたと言えます。

カエル先生の一言

『四季報』には株主構成や業績など情報がギッシリと詰まっていますが、初めて読む人はまずは「ABEJN」欄だけをチェックすれば良いみたい。詳しくは「第2回 四季報はここを抑えれば大丈夫! A・B・E・J・N欄で見つける『勝ち筋銘柄』」をチェック!

ステップ2 儲けの出やすさ=利益率をチェック

そして、売上高の伸びとともに、「儲けが出やすいビジネス」である点も重要です。それは、売上高に対して利益が占める割合が高いことを意味します。具体的に言えば、売上高営業利益率が10%以上に達しているという条件を満たす会社が当てはまります。売上高営業利益率は「営業利益÷売上高」という式で計算でき、これが高いほど「儲けが出やすいビジネス」だと判断できます。

営業利益とは、その会社が本業で得た儲けのことです。Jブロックの売上高の右脇に出ているので、スマートフォンの電卓機能などで先ほどの式を用いて計算すれば、売上高営業利益率はすぐに判明します。さらに、会社四季報オンラインなどのスクリーニング機能を使うと、もっと作業が楽になるので、そちらも試してみてください。

2つのステップで65社がテンバガー候補に

−−「過去4年間で売上高が2倍以上」と「売上高営業利益率が10%以上」という条件で実際にスクリーニングを行うと、どんな銘柄がピックアップされるのでしょうか?

10月1日の時点でスクリーニングしてみると、全上場銘柄(不動産業を除く)のうち、65社が2つの条件を満たしていました。営業利益率が高い順に見てみると、1位の「 FPG 」と2位の「 ジャパンインベストメントアドバイザー 」は両社ともリース事業を中心とした会社です。

リース業とは、船舶や航空機など、顧客が欲しいものを代わりに購入し、それを貸し出す事業のことです。超低金利と好景気を追い風に、こうしたリース業に対するニーズが高まり、業績が好調だったものとみられます。

ただし、これら2つの数値が高いだけでは、テンバガーの候補であるとは断言できません。残る2つの共通点を満たすことが求められてきますので、次回はそれらにフォーカスしてみたいと思います。2つについて簡単に説明しておくと、社長のリーダーシップ、そして会社のフレッシュさという点です。詳しくは次回で。どうか、お楽しみに!

<まとめ>
・株価が10倍になった銘柄には4つの共通点があった
・共通点とは、①増収率が高い、②売上高営業利益率が10%以上、③オーナー企業、④上場から5年以内
・増収率は売上高が増えるピッチのこと、売上高営業利益率とは、売上高に儲けが占める割合
・10月1日時点で、過去4年間の増収率2倍、売上高営業利益率10%以上の条件でスクリーニングすると、65社がピックアップされた
*本資料掲載時点で、モルフォは日本証券金融の注意喚起銘柄に指定されています。
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