配当収入1000万円の投資術~www9945さん後編

億り人さん、いま持っている株を教えてください!/ www9945日興フロッギー編集部

投資で1億円以上の金融資産を築き上げることに成功した、通称「億り人」に“手の内”を根掘り葉掘り聞き出す新企画がスタート。
年収300万円の清掃会社勤務サラリーマンから、今や4.5億円の資産を保有するに至った、まさに“レジェンド”な個人投資家www9945さんに突撃取材します!

前編では、売買益(キャピタルゲイン)+配当(インカムゲイン)狙い”投資スタイルのうち、売買益を期待できる成長株の見極め方、保有している銘柄についてうかがいました。
後編では、年間配当収入1000万円を稼ぎだす配当狙いの手法、銘柄について教えてもらいます。
雪だるま式! 売買益と配当金をぐるぐる回して資産4億円超~www9945さん【前編】を読む

【ルール3】
増配トレンドを継続する好調企業を買い増ししていく

さて、いよいよ夢の配当生活を実現したインカムゲイン狙いの投資のお話ですね。となれば、とにかく配当重視で銘柄を選ぶ、というわけですよね。

もちろんそうですが、ただし業績が伸びているのが条件です。
減配や無配となるリスクを避けるためには、前編の後半でお伝えした、売上・利益、ROA、PER、自己資本比率、フリーキャッシュフローなどはきちんと確認してくださいね。しつこいようですが、ココが基本です。

はい! ちなみに高配当株は、どの程度の利回りを目安にしていますか。

そうですね。今持っている高配当株は海外株式も合わせると、買い値ベースで平均約5%の配当利回り(1株当たりの配当金÷株価)ですが、買う際の目安としては3.5%以上が照準となります。
情報としては、『日経ヴェリタス』の配当利回りランキングなどもチェックしていますが、その中でもとくに狙い目は新たにランクインした“新顔”で、しかも増配によってランキングが上がってきた会社です。

www9945さんの選ぶ銘柄海外事業が好調で、4期連続増配予想の「東京海上ホールディングス」

その一つが、2017年に買った「 東京海上ホールディングスです。

誰もが知っている超有名企業ですよね。

実は、配当金の推移を見ると、ここ数年、増配トレンドを継続しているんです。
直近の5年間を見ても、2015年3月期95円から、110円、140円、160円と増配し、2019年3月期予想値が180円。私は160円の時に購入し、増配予想を受けて買い増ししました。

2015年3月期の配当額からほぼ倍です! 業績が好調なのでしょうか?

近年、海外でM&Aを積極的に推進していて、海外保険事業の業績が急速に伸びています。法人税減税の恩恵を受けた米国ほか、欧州、中南米、アジアでの保険事業も好調に推移しています。

国内で損害・保険事業を展開しているイメージでしたが、実はグローバル企業だったんですね。

今や海外保険が収益の約35%(経常収益ベース、2019年3月期の第1四半期決算時点)を占めており、海外事業の影響を受けやすくなっています。
こういった会社をグローバルディフェンシブ銘柄と呼んでいますが、消費増税やオリンピック後に、景気や相場が低迷する局面が来ても、こういった底堅い利回りが期待できる大型株は有望だと思いますよ。

誰でも知っている大型株なら、初心者も買いやすいですし、株価が大きく上がらなくても安心して持てるのはいいですね。

高配当株は売買益は期待できなくても、あまり下がらない。値持ちの良さも魅力です。

www9945さんの選ぶ銘柄再生エネルギー需要増で成長期待。好利回りのインフラ投資ファンド

私自身は、高配当銘柄については外国株の割合が増えつつあるのですが、日本の銘柄で、今、注目しているのが太陽光発電施設に投資するインフラファンドです。

インフラファンドにも高利回りの銘柄があるんですね。

私が持っているのが「 日本再生可能エネルギーインフラ投資法人 」と「 カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人 」です。
太陽光発電設備をメインに投資し、その収益から分配金が払われる仕組みです。値動きはゆるやかですが、どちらも配当利回りが5~6%と高水準。Jリートのように不動産市況の影響を受けにくいのもいいですね。
また、再生エネルギーは“国策”で拡大、成長が期待でき、インフラ投資ファンドに対しては法人税を20年間非課税にする優遇措置があるのもメリットです。
その優遇措置のリミットも見据えつつ、設備が劣化するまでの10年間程度、保有する予定です。

www9945さんの選ぶ銘柄アクティビストファンドの株主提案の動向にも注目

もう一つ、今後の期待ということで、仕込んだ面白い銘柄があるのでご紹介しましょうか。

ぜひぜひお願いします!

京阪神ビルディング 」という、オフィスビルやデータセンタービル、商業施設などを展開している会社です。実は個人投資家向けの説明会にも参加しまして、中身としては最初の15分程度で眠くなってしまったのですが(笑)、なぜ買ったのかというと保有するビルの簿価、含み資産に対して、株価がほとんど評価されていない。ここに目をつけました。
また、旧村上ファンド関係者が設立したアクティビストファンドが、同社の発行済み株数の5.85%を買っているんです。
このファンドは、他の会社についても配当性向の改善を要求するなど、改善要求がしつこいのが特徴です。
前回の株主総会では何も要求が出なかったのですが、いずれ現経営体制に対する提案が出て、資産に対して株価が見合うぐらいには上昇するのでは、という期待で持っています。

株価が上がる要因っていろんなファクターがあるんですね。勉強になります。

【ルール4】買値から9~10%下がったら、“損切り”ルールを発動

では、いざ株を買って、いつ売るか。下がった時の損切りについてのアドバイスもいただけますか?

私は、9~10%下がったら必ず売ることをルールにしています
株価が下がると「安く買える」とばかりにナンピン買いをする人もいますが、私は絶対にしません。以前、ズルズルと持ち続けて、痛い経験もありますし(苦笑)、ポートフォリオが崩れてしまうのも難点です。
それに他の銘柄で儲かっていれば「損切りクロス=節税」(損切りクロスとは、寄り値で現物売り&信用買いして、翌日にその信用買いを現引きする取引。含み損が現実損に変わり、買い単価が低くなるメリット)。ポジティブに捉えてダメな株とはきっぱりオサラバし、新たな有望株に投資するべきです。

なるほど。株式投資を長く続けていく上ではメンタルの強化も大事だと思いますが、何か実践されていることはありますか。

勝負に関する本はよく読みます。株に関係なくても、一線で勝負をしている人の言葉には、参考になる視点が必ずある。自分を鼓舞する上でも有効です。
愛読書のうち1冊をご紹介すると、『勝ち続ける意志力 世界一プロ・ゲーマーの「仕事術」』。梅原大悟さんという、「世界一長く賞金を稼いでいるプロ・ゲーマー」としてギネスブックに認定されている伝説のゲーマーの本で、自身の勝負哲学が書かれています。
その中で印象に残っているのが「楽な勝ち方ばかりしていてはやがて勝てなくなる」「変化なくして成長なし」という言葉。これは株の世界にも通じる話だと思います。

過去の成功パターン通りにやったほうが安心感はありますが、それでは億り人への道は遠いということでしょうか?

損切りの話にも通じますが、投資の軸や資金管理法は変えなくても、相場に合わせて銘柄は変えていく必要があります。経済、相場、企業は生き物のようなものですから
ただし、一度に大きく銘柄を変える必要はありません。100の銘柄があったら、変化に応じて1銘柄ずつじわじわと入れ替えていくやり方でいいんです。
こうしたアクションを継続的に繰り返していけば、常に最適なポートフォリオをキープすることが可能となるわけです。

【ルール5】まずは行動! 気になる1銘柄を買ってみよう

株式市場で25年間生き残り、着実に資産を増やし続けているwww9945さんの言葉だからこそガツンと来ます。

株式投資は自分にとって本当に大切で好きなものだからこそ、モチベーションを途切れさせることなく、継続できたんだと思っています。
だから、最初の配当金生活の目標を立てた時点で、途中の出来事は枝葉のようなもの。家計の切り詰めさえも楽しく取り組むことができたんです。

うーん、さすがです。では、株式投資をこよなく愛するwww9945さんから、これから株を始める投資初心者にぜひアドバイスをお願いします。

実は、初心者の方から投資の相談を受ける機会も多いのですが、色々とお話をして、数ヵ月後に会うと、まだ口座開設もしていらっしゃらない方が意外に多いんです(笑)。
勉強や準備も大事ですが、まずはやってみないとわからない。これは株に限らず投資全般に言えることです。
たとえば買い物でよく利用する「 イオン 」の株を買ったら、約2倍に上がって儲かった。儲かる仕組みがわかると、興味がますます湧いてくるはずです。
本を読み始めるのはそれからでもいい。一度やってみると、小難しい数字の話も頭に入りやすくなるはずです。
というプロセスを辿ったのがうちの母親なんです。今や実家に帰ると、大抵マネー雑誌を読んでいますよ(笑)。

行動力のあるお母さま、素敵ですね!

もちろん絶対にやれ、とは言いませんが、誰でも儲かるチャンスが目の前にあるのに手を出さないというのは、少々もったいないなあと思います。
それに何より楽しい。私自身、株を始めてから、以前勤務していた会社への給料面でのグチも減りましたし、世の中の変化の捉え方も大きく変わりました。つまり“経営者視点”で見るようになったんですね。
だから、まずは資料請求から始めて、口座を開いてみる。億への道も一歩から。まずは行動あるべしです。

心に浸みわたる含蓄あるお話を、どうもありがとうございました!

今回のテーマで取り上げた上場企業

東京海上ホールディングス
日本再生可能エネルギーインフラ投資法人
カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人
京阪神ビルディング
イオン

本記事は、取り上げた企業への投資を推奨するものではありません。原則として原稿作成時点における情報に基づいて作成しております。また、記載された価格、数値等は、過去の実績値、概算値あるいは将来の予測値であり、実際とは異なる場合があります。投資に関する最終決定はお客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。