成長株×配当株で資産4億円超~www9945さん前編

億り人さん、いま持っている株を教えてください!/ www9945日興フロッギー編集部

投資で1億円以上の金融資産を築き上げることに成功した、通称「億り人」。投資家なら誰でも夢見る“億万長者”に、投資手法や持っている銘柄など、気になる“手の内”を直撃取材! “億り人”願望満々のカエルくんが、根掘り葉掘り伺います。

――はじめまして、投資を極めて「億り人」になりたいカエルくんです。
記念すべき1回目の「億り人」さんは、年収300万円の清掃会社勤務サラリーマンから、華麗な転身を遂げたwww9945さん。いざ、突撃~!

配当収入1000万円を可能にするカギは「雪だるま式」の投資手法

こんにちは。「いつか億り人に!」を目標にしています。ぜひご指導をお願いします! さて、最初からブシツケな質問で恐縮ですが……今、お持ちの資産はいかほどなのでしょうか? 一番初めにFROGGYにご登場いただいた際は、確か資産は2.5億円でしたよね?

いまは、総資産は4.5億円ぐらい、配当収入は年間約1000万円です。

よんてんごおく! そして、寝ていても“年収1000万円プレイヤー”……うらやましいです。元々、こうした配当金生活を目標にしていたのですか?

はい、まさに「配当金生活する」を目標に、投資資金100万円を貯め、社会人2年目に投資を始めました。目標は資産1億円。配当利回り5%で年500万円程度の収入を得られれば、会社を辞めても暮らしていけると考えたのです。
無論、最初は鳴かず飛ばずの時代がしばらく続いたのですが、2012年、投資スタイルを確立してから、順調に資産が増え始めました。

むむむ! 試行錯誤の上、編み出したその投資スタイルとは……ぜひ教えてください。

銘柄を売買益(キャピタルゲイン)狙いと配当益(インカムゲイン)狙いに分け、資金を回していくスタイルです。
売買益狙いでは、これぞという成長株に信用取引を使って集中投資。その利益を高配当株に投入し、得られた配当金収入を再び成長株に投資する。
こうしてグルグル資金を回し、雪だるま式に資産を増やしていくやり方で、安定的に配当収入が得られるようになりました。14年には会社を辞め、念願の専業投資家に転向することができたんです。

雪だるま式の威力、すごすぎます……!

【ルール1】
6つのテーマで売買益を狙える成長株を見極める!

いよいよ次は具体的な銘柄について、まずは売買益狙いの銘柄選びについて教えてください。

銘柄選択では6つのテーマを意識しています。

①ストック・ビジネス
②置き換え
③強い習慣性
④堀
⑤高配当
⑥世相

⑤「高配当」の銘柄については配当狙いの銘柄とかぶるので、後編で詳しくお話しします。まず5テーマについて解説していきますね。

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テーマ①「ストック・ビジネス」

トランクルーム需要増で期待大の「エリアリンク」

まずストック(Stock)・ビジネス。「蓄え、蓄積」といった意味の通り、一度、取引、契約が成立すれば、継続的に売上が積み上がっていく事業モデルを指します。いわゆる、黙っていてもお金が入ってくる“チャリンチャリンビジネス”です。

“チャリンチャリンビジネス”! 魅力的です。そういえば、GMOインターネットの熊谷正寿会長も、株式投資を通して、成長し続ける収益モデルは「ストック・ビジネス」だと気付いたとおっしゃっていました。具体的には何の銘柄をお持ちですか?

一つがエリアリンク 」です。「ハローストレージ」というブランド名で、レンタル収納用スペースのストレージ(収納トランクやコンテナなど)を全国に8万室(※編集部註:2018年7月末時点で8万5000室)以上を展開している、業界トップの企業です。

確かに都心のワンルームなんかだと、収納に困ることって多いですよね。

郊外の一軒家より、利便性の高い都心のマンションを志向する都心回帰の動きも追い風に、2020年には市場規模が800億円近くに達するという試算もあります。
また、マンション経営に代わる土地活用の手段としても注目を集めています。
マンションは初期投資もかかりますし、入居者とのトラブル対応も面倒ですよね。
同社では投資家、不動産オーナー向けの「ストレージ流動化事業」も手掛けていて、近年の賃貸物件のダブツキや不動産融資の厳格化も背景に、投資資金がストレージ市場にシフトすると言われているんです。

トランクルームの利用者だけでなく、投資ニーズも増えているんですね。興味深いです。

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テーマ②「置き換え」

カーシェアリングで業界トップの「パーク24」

では、次の「置き換え」。これは書籍が電子書籍、紙タバコが電子タバコに代わったりと、消費動向の変遷に沿ったビジネス業態の変化を指します。
このトレンドをうまくとらえ、業績を伸ばしているのが「 パーク24 」です。

駐車場の「Times」の会社というイメージですが……。

それだけでなく、レンタカー、カーシェアリング事業も手掛けていて、カーシェアリングの「タイムズカープラス」では、ステーション数が全国約1万ヵ所(2018年7月末時点)と業界トップを占めています。

何年も前から「若者の車離れ」が言われていますが、もはや車は「買うもの」から「シェアするもの」になっているんですね。

もう一つ、新たな追い風が、政府発表の成長戦略に「2030年までに、国内で販売される新車の3割以上を自動運転車にする」という目標が盛り込まれたことです。
「タイムズカープラス」では車のすべてにレコーダーを付け、車の急発進や急ブレーキなどのデータを収集しています。最近ではトヨタ自動車と連携してデータの集約にも乗り出しました。
「運転」から「自動運転」の置き換えが進めば、データ事業にも注目が集まりそうですよ。

「置き換え」ネタを発掘するには、新しいニュースにアンテナを張っておかねば……心いたします!

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テーマ③「強い習慣性」

スイーツ女子・男子が買い支える「不二製油」

次の「強い習慣性」は、リピート買いが望める商品を取り扱う会社に注目するもの。酒、たばこ、チョコレートなどが該当します。
このテーマだと既に売却したものですが「 不二製油 」、食品用加工油脂のメーカーです。
お菓子やパンなどの身近な食品に欠かせない原材料で国内シェア1位。とくに業務用チョコレート油脂では世界シェアトップ3の一角を担っています。

確かにイライラすると、つい甘いモノに手が伸びるという人、私を含め(笑)周りでも見かけます。そして、この会社なくしてはお菓子もパンも作れない。地味だけど隠れた優良企業にも注目せねば!

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テーマ④「堀」

参入障壁が高いたばこ事業で安定成長をキープする「JT」

「堀」は参入障壁が高いビジネスをやっている企業を指します。堀があると、敵もなかなか“城”に攻め込めないですよね。このテーマに沿って持っているのが「 日本たばこ産業 」、つまりJTです。

国内企業のたばこメーカーはJT、1社のみですよね? つまり誰もができるビジネスではない?

投資コストに見合わないですよね。世界的な受動喫煙防止対策の広がりもありますし、健康被害や依存性を巡る訴訟も増えているようです。立ち向かうにはかなりの資金力と企業体力が必要です。
また、たばこは「強い習慣性」のテーマにも合致します。私は欧米株でもフィリップモリス、アルトリア・グループなど、複数のたばこ銘柄を保有しています。

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テーマ⑤「世相」

消費税増税で伸びる激安スーパー「神戸物産」

「世相」では何に注目されていますか。

「業務スーパー」を運営している「 神戸物産 」です。実は店名に反して、一般客も利用できるんです。特徴は価格が激安なこと。納豆が43円とか豆腐が30円台とかめちゃくちゃ安いんですよ(笑)。

それは破格(驚)! それで、なぜココが伸びていく、と?

来年は消費税が10%に上がりますよね。
すると、節約に走る人が増える。外食と酒類以外の飲食料品は増税対象外ですが、日々の食費を削る人が増えるでしょう。
業務スーパーは年々、店舗数を増やしていて、全国に約800店舗を展開しています。消費税増税以降は、「少しでも安いモノ」を求め、業務スーパーに駆け込む人が増えると見ています。

なるほど……!

もう1社、ワークマン 」も注目です
作業服や安全靴などの作業関連用品の小売でシェアNo.1ですが、作業服で培った機能性を活かしたスポーツ・カジュアル衣料に進出し、近年、人気を集めています。
実は、コレ、Twitterで発掘したネタですが、実際に月次データを見ても、全店売上高が前年同月比約110%で好調に推移していますよ。

「世相」ネタを探るには、即効性のあるTwitterが有効なんですね。

Twitterはよく検索していますよ。たとえば自分が持っている銘柄を検索すると、盛り上がり度がリアルにわかるのがメリットですね。

【ルール2】
ポイントは5つ! www9945さん直伝の業績チェック方法

最後にもう一つ、テーマを通して押さえるべき大事なポイントが業績のチェックです。
まずチェックしたいのが、売上高、本業の儲けである営業利益がゆるやかに伸びているか。割安水準を見るPERは10~15倍あたりがターゲットになります。しかし最近は20倍辺りまで広げないと銘柄選択が難しくなっています。会社の収益性を見る指標では、私はROA(総資産利益率)を重視しています

ROE(自己資本利益率)を勧める投資家さんもいらっしゃいますが?

ROEは自己資本をいかに効率的に使って利益を上げたかを示す指標。自己資本が少ない小型成長株はどうしても高くなる傾向にあるため、小型の割安成長株を探す上では、ROEでは判断しにくい。
なので私は、ROEではなくROA10%以上を目安にしています。

ROE(自己資本利益率)=当期純利益÷自己資本×100
ROA(総資産利益率)=当期純利益÷総資産×100

その他、会社の総資産に対する自己資本の割合を示す自己資本比率(自己資本÷総資産)が50%以上あるか会社の資金力を示すフリーキャッシュフローがプラスになっているかも、キャッシュフロー計算書で確認しています。

いくら成長していても、ムリをして利益を追求しているような会社はNG。会社の安全性、財務の健全性も要チェックというわけですね。これまで『四季報』や会社のIR情報のどこを見ればよいのかわからなかったのですが、教えてもらった5つのポイントで見てみます!

売上高、営業利益がゆるやかに伸びているか
割安か(PER10~15倍あたりがターゲット)
ROAは10%以上か
自己資本比率が50%以上あるか
フリーキャッシュフローがプラスになっているか

財務諸表とは、企業の健康状態を知るカルテのようなもの。私が知っている“億り人”は、みな財務諸表を見極める“名医”ばかりです。最初は難しく感じるかもしれませんが、危ない銘柄に引っかからないためにもぜひチャレンジしてみてください。
次回は、インカムゲイン(配当金)狙いの銘柄について選び方と、実際に私が投資している銘柄についてお話ししますね。

今回のテーマで取り上げた上場企業

エリアリンク
パーク24
不二製油
日本たばこ産業
神戸物産
ワークマン

本記事は、取り上げた企業への投資を推奨するものではありません。原則として原稿作成時点における情報に基づいて作成しております。また、記載された価格、数値等は、過去の実績値、概算値あるいは将来の予測値であり、実際とは異なる場合があります。投資に関する最終決定はお客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。