PERで読み解くオリエンタルランド

月曜日はPERをトコトン!/ 日興フロッギー編集部オノデラコージ

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PERは多くの投資家が投資をする際に参考にする投資指標の1つで、株価を1株あたり利益(EPS)で割ることで計算できます。そして、一般的には10倍、15倍というように倍率で表され、倍率が高くなれば割高、低くなれば割安と判断します。

PER=株価÷1株あたり利益(EPS)
(もしくは、時価総額÷当期純利益)

高いPERには理由がある

計算式からもわかる通り、同じ利益の会社でも、買いたいと思う投資家が多いほど株価は上昇するので、結果として、PERは高くなっていきます。安く買って、高く売るという投資家目線で考えれば、PERが低い銘柄がいわゆる「買い時」の銘柄と言えます。しかし、PERが高いからといって魅力的な銘柄ではないかというと、そうとも限りません。

case2:オリエンタルランド

今日取り上げるのは、東京ディズニーリゾートでおなじみの「 オリエンタルランド 」です。同社は、1983年の東京ディズニーランド開園以降、ディズニーファンを増やし続け、近年は来園者が年間3000万人を超えるまでになっています(ランドとシーの合計)。2020年度には大型新施設の開設を予定するなど、新たな施策も打ち出しており、今後の収益拡大にも期待が高まります。

予想PER47.4倍は業種内でも高い

ある企業のPERが高いか低いかを判断するときには、同じような市場で競争している同業他社と比べることが有効です。オリエンタルランドは「サービス業」に属しており、その業種平均予想PERは23.8倍となっています。このことから、オリエンタルランドの予想PER47.4倍は非常に高い水準であることがうかがえます。割安な時にこそ買うというPERの原則で考えると、「買い時」とは言えなさそうです。

PERが高い理由は「人気度」

オリエンタルランドのPERがこのように高い水準にある理由の1つが、同社の高い「人気度」です。ミッキーマウスをはじめとしたディズニーの手がけるコンテンツ力をベースに、オリエンタルランド独自の”キャスト”と呼ばれる従業員のおもてなしなどが大きな魅力となっています。こうした魅力がリピーターを増やし、国内市場シェア・年間入場者数ともにNo.1の実績を生み出していると考えられます。

また、株式投資の面で考えたときに人気を支える要因となっているのが株主優待で贈呈される1デーパスポートです。これを目当てに株式を持ち続けるという人もいるほどです。チケットを優待にすることで東京ディズニーリゾートのファンを長期投資家としてうまく取り込めている例と言えるのではないでしょうか。こうした点もPERが高い水準をキープしている要因と言えそうです。

割高な理由を考えよう

一般的には「割安=買い」というのがPERの基本原則。しかし、オリエンタルランドはPERが高くてもマーケットで買われ続けています。同社のケースでは、「コンテンツ力(ファンの多さ)」と「魅力的な株主優待」という2つの要因が、同社のPERを押し上げていることがわかりました。

<PERの読み解き方3ヵ条>
①これからの業績を考える
②会社の人気度を考える
③投資家の心理を考える

今回はオリエンタルランドを②の「会社の人気度を考える」ことで読み解いてきました。PERが高いからと言ってすぐに見切りをつけるのではなく、こういった視点から分析をしてみると、いい出会いがあるかもしれません。

本記事は、PERを解説するものであり、素材として取り上げた企業への投資を推奨するものではありません。原則として原稿作成時点における情報に基づいて作成しております。また、記載された価格、数値等は、過去の実績値、概算値あるいは将来の予測値であり、実際とは異なる場合があります。投資に関する最終決定はお客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。