株式投資において、多くの投資家が割安・割高を判断するときに参考にしているPER。あの伝説の投資家ウォーレン・バフェットも重視している指標です。
1分で学ぶ「PER」
PERとは、「Price Earnings Ratio」の略称で、日本語だと「株価収益率」と言います。PERは、株価を1株あたり利益(EPS)で割ることで計算でき、利益が出ている上場企業であればどんな企業でも算出することができる指標です。そして、一般的には10倍、15倍のように倍率で表され、倍率が高くなれば割高、低くなれば割安と判断されます。
(もしくは、時価総額÷当期純利益)
PERは一番身近な投資指標
PERは「企業が稼ぐ利益に対してどれぐらい株が買われているか」を表す指標です。たとえば、利益10億円の企業が、時価総額100億円だったら、PERは10倍ということになります(時価総額=株価×発行済み株式数)。また、上記の計算式からもわかる通り、株価と1株あたり利益さえわかればだれでも把握できますし、Yahoo!ファイナンスや大手新聞社などのwebサイトからも知ることができる投資指標の1つです。
case1:トヨタ自動車
では日本を代表する自動車会社「 トヨタ自動車 」の例で見てみましょう。同社の2018年6月26日の終値は7081円でした。また、2018年3月期の実績ベースのPERは8.3倍でした。
ただ、これはあくまでも過去の数字です。株式市場では常に先行きを見通して投資家は売買するので、予想ベースでPERを見ることの方が多いです。そこで、2019年3月期、つまり今まさに走っている決算期の予想ベースで見ると、予想PERは9.7倍と実績ベースで見るより水準が高くなっていることがわかります。
トヨタが今期減益と予想されている2つの要因
予想PERが実績より高くなっているのは、2019年3月期に減益が予想されているためです。トヨタ自動車が減益と予想されている背景には、大きく分けて2つの要因があります。1つ目は為替です。2017年はおおむね1ドル=108~117円で推移していたのに対し、2018年に入ってから一時104円台をつけるなど、やや円高水準にあります。円高は海外であげた利益を目減りさせる要因になるため、業績にもマイナスに働きます。
2つ目の理由は、米国のトランプ大統領による保護主義政策です。トランプ大統領は他国からの輸入品に関して今よりも高い関税をかけることを宣言しており、少なからず自動車業界も影響を受けるものと考えられます。そうなると業績の圧迫要因となり、前期よりも業績が悪くなる可能性が考えられるのです。
業績変化の理由を常に考える
このように業績が良かった実績ベースで考えるのと、これから業績が悪化しそうな利益をもとに考えるのとでは、大きくPERの水準は変わってきます。PERの水準を考えるときには、その企業がどのような理由で利益を稼いで、その要因が今後どうなるのかも含めて考えていく必要があると言えそうです。
①これからの業績を考える
②会社の人気度を考える
③投資家の心理を考える
今回はトヨタ自動車を①の「これからの業績を考える」ことで読み解いてきました。PERと企業業績は常に一緒にウォッチするようにしましょう。